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Audibleでデビューした東野圭吾は定評通りの面白さだった
現在、Audibleのサブスク契約中なので、ここのところながら聴きが習慣となっています
Audibleだと、自分がいつも読んでいる本とはちょっと異なった指向の本も気楽に聴けるのがいいです 少し前の話ですが、小春日和の暖かな日に妻を散歩に誘ってみたのですが、家から出たくないとことで断られてしまったので、買い物がてら一人で近所の公園に散歩をしに行こうと、3時間程度で聴ける読み物(聴き物)を探しているときに目についたのがこちら
ミステリー作品はあまり読んだことがなく、シャーロック・ホームズと宮部みゆきを少々といった程度なのですが、子供のころは江戸川乱歩の少年探偵シリーズをいくつか読んだし、マジカル頭脳パワー!!のマジカルミステリークイズが大好きだったし、他にも金田一少年の事件簿の漫画も、古畑任三郎のテレビドラマも好きだったので、要するにミステリー自体は結構スキで、でも高校生以降、どういうわけだかミステリー作品を読むことがほとんどなくなったので、東野圭吾の作品もこれまで一冊も読んだことがありませんでした
本作はちょうど3時間程度の短編だったのと、めちゃくちゃに高評価だったので、この度の散歩のお供として迷わずに選びました
物語は、玄関の扉を出たのと同時に始まります
物静かなナレーションから始まり、自宅の立体駐車場から車を出すとき、発砲音とともに早速事件が起きます 語り手だった私が、何者かに殺されたのです そして死んだ私の意識は遺体とともにその場に残り続けます
交差点を曲がり大通りに出るころ、私の遺体も警察の車で地元の警察署に運ばれます
小高い丘にあるイチョウ並木のきれいな公園に向かうため、高速道路の下をくぐるトンネルを走る その間に警察署に運ばれた私の遺体の検視が行われる そして、私の意識とともに、動かなくなった肉体は遺体安置所へと運ばれる
遺体安置所に二人の担当刑事が訪れます 長い坂道を登りながら、二人の刑事が殺人事件の情報を確認しあう
紅葉狩りで混雑した公園の駐車場に車を止めたとき、私の意識が、加賀と呼ばれるベテラン刑事に乗り移る
まるで加賀の背後霊のようになった私の意識は、これから加賀が事件の捜査を行い、殺人事件の真相を究明する様子を、加賀の肩ごしに見守ることになるのだ、公園を散歩しながら、その捜査の様子を聴く…
Audibleでのながら聴きの場合、読書で得られる体験とは異なり、物語の世界で物事が展開するのと同時に、その物語を聞いている私の世界でも物事は展開している
それによって、物語への集中がそがれてしまう場合もあるのだけれど、謎なシンクロ?により、意識が研ぎ澄まされた状態になることもあって、そういった状態になると、通常の読書とは異なった感覚となり面白い
じっくりと読み込むのに比べると、物語を深く理解することは難しいのかもしれないが、物語の内容がそのときの自分の行動とともに記憶される
例えば、いつかまたこの公園を訪れたときに、私は加賀が事件の捜査をしている様子をふっと思い出したりするのだ
読書でも同じようなことありますね
高校生の頃、通学の電車でフリッパーズギターを聴きながら村上春樹の小説を読む生活を1年間ほど続けていたせいで、今でもフリッパーズを聴くと、何となく村上春樹をイメージしてしまうのだが、それとだいたい同じ現象です
そんなAudibleの体験の話はさておき
初めての東野圭吾は、短編ながら十分に面白かったです 特別ミステリアスな展開があるわけでもなければ、ドキドキハラハラがあるわけでもないのに、物語にどっぷりとつかることができた
朗読者が豪華な俳優陣だったからという理由もあるのかもしれないけど、よく練られたストーリーと、選び抜かれた言葉による文書のたまものだと思います
短編ではなくて、長編の代表作も一度読んでみようと思う
ところで、別の日に松本清張の点と線もAudibleで聴きました 別のミステリーも聴いてみたくなり、初めはアガサ・クリスティーを選択したのだけれど、どうしてもAudibleでは登場人物の外国人の名前が頭に入ってこなかったため、早々に挫折をして、松本清張に切り替えたのでした
トリックに若干の古さを感じたけど、こちらも没入感を得られてなかなか面白かったです
Audible×ミステリーも結構いいみたいです
手始めの東野圭吾もおすすめいたします