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知ることで想像ができる認知症ドキュメンタリー映画

先日書いた『徘徊 ママリン87歳の夏』という認知症に関するドキュメンタリー映画の記事に対するリアクションが良かったので続きです

認知症や介護に限った話ではありませんが、助け合えるような寛容な社会が必要なこと、そして知らないことには想像することすら出来ないことを考えると、一人でも多くの方に知っていただくといいのかなと思える作品でした

さて、そんなわけで別の映画も紹介します
まずは『ぼけますから、よろしくお願いします。』(2018年)
こちらは認知症の母(文子さん)を介護する父(良則さん)のようすを娘(直子さん)が撮影したものです

これを美談として語っていいのかどうかは迷いいますが、とにかく愛情にあふれた家族のお話で、おそらくは紛れもない美談です

この映画は続編『ぼけますから、よろしくお願いします。~おかえり お母さん~』(2022年)もあります

続編は、文子さんが脳梗塞を患い、延命治療の末に看取る様子まで描かれています お父さん(良則さん)の言葉の一つ一つが胸に刺さります


それからもう一つ別の映画『毎日がアルツハイマー』(2012年)
こちらも認知症の母(ひろこさん)の様子を娘が介護をしつつ撮影しています

私は1作しか視聴していませんが、これの他に続編が2つあるようです


これから3つの映画を私なりに比較しました

『徘徊 ママリン87歳の夏』
カメラマン、監督が家族ではないので映像がキレイでおしゃれで見やすい
そもそも対象の母子がオシャレでユーモアにあふれている

『ぼけますから、よろしくお願いします。』
娘がカメラを持ち監督をしている(介護は部分的)
とにかく愛情にあふれた老夫婦の姿とその素晴らしい人格に触れることが出来る

毎日がアルツハイマー』(1作目しか観てない)
娘が介護をしながらカメラを持ち監督をしている
もともとYoutubeで配信をしていたようで、映像も作りも雑な感じがする
良くも悪くもリアルなホームビデオな感じ

私がおすすめするのは『徘徊 ママリン87歳の夏』『ぼけますから、よろしくお願いします。』ですが、そもそも認知症の症状も、それを支える環境も一様ではないので、より多くのケースを知るという意味では『毎日がアルツハイマー』もとても参考になると思います


さて、詳しいことは忘れてしまいましたが、どこだかの作中で多幸症という言葉と、医師による説明が出てきました

医学的に詳しいことが解明されている訳ではなさそうでしたが、認知症の一部の症状は、老化という辛い現実への防御反応として心の苦しみから解放するためという学説があり、その症状を多幸症と言っていました(※あいまいな記憶なので正確ではないかもしれません、また多幸症は認知症に限った症状ではありません)

それを聞いて、私はなんだかとても複雑な気持ちになりました

ママリンは夫や両親が死亡していることを知らされて絶望します
別の日にも同じことを知られてまた絶望します
はたからはそれが無間地獄のようにも思えますが、記憶がなければ絶望が積み重なることもなく、心の傷も一瞬で癒えるのでしょうか…

それから、ぼけますからの文子さん
「私はバカになってしもうた」
「死にたい、殺してほしい」
と嘆き苦しみます 

60年間ずっと家族の世話をし続けた文子さんにとって、自分が家族や介護士に世話をしてもらう側の立場になることに、耐え難い苦痛を感じていたようです

そんな自暴自棄になる文子さんをみて、良則さん
「感謝せい!感謝が出来んのなら死んでしまえ!!」
と一喝する場面があるのですが、これがとにかくたまらないのです

文字で書くと誤解を招いてしまいますが、良則さんは愛情深くものすごく温和な方なので、介護をしている自分に対して感謝をしろという気持ちは微塵もなくて、私には
”生かされている今のひと時に感謝の気持ちを持てなくなるほど自分勝手になったのか!”
という意味の、人格者である良則さんの嘆きの喝だったとしか思えないのです

そして文子さんはそれを聞いて
「怒らんでもいいでしょ」
と泣きじゃくります

でも、そんな文子さんは、数時間もしたら機嫌を取り戻して、すっかりしおらしくなります

その様子を見た娘の直子さんが、お父さんの良則さんに対して
「お母さん、今朝のこと反省しとるんかね」
と言うのですが、良則さんはそれに対して
「覚えてたらな」
と、笑顔で答えます

もしも認知症などの疾患に何らかの意味があるのだとするば

私はそれを、多幸症のような認知症を患った本人の心の苦痛を取り除く防御反応として意味ではなく、社会を作って生活を営む人類として、周りの人が助け合い成長をするための意味なんじゃないかと思いました

最近、母親の死に目に触れ、父親だっていつまでも一人では生活できないと思い、いろいろと柄にもないことを考えるようになってしまいました
何かおすすめの映画とか本があれば是非教えてください


最後まで読んでいただきありがとうございました

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