【新書が好き】値切りの交渉術

trafalgar

2024年8月12日 08:00

１．前書き

「学び」とは、あくなき探究のプロセスです。

単なる知識の習得でなく、新しい知識を生み出す「発見と創造」こそ、本質なのだと考えられます。

そこで、２０２４年６月から１００日間連続で、生きた知識の学びについて考えるために、古い知識観（知識のドネルケバブ・モデル）を脱却し、自ら学ぶ力を呼び起こすために、新書を学びの玄関ホールと位置づけて、活用してみたいと思います。

２．新書はこんな本です

新書とは、新書判の本のことであり、縦約17cm・横約11cmです。

大きさに、厳密な決まりはなくて、新書のレーベル毎に、サイズが少し違っています。

なお、広い意味でとらえると、

「新書判の本はすべて新書」

なのですが、一般的に、

「新書」

という場合は、教養書や実用書を含めたノンフィクションのものを指しており、新書判の小説は、

「ノベルズ」

と呼んで区別されていますので、今回は、ノンフィクションの新書を対象にしています。

また、新書は、専門書に比べて、入門的な内容だということです。

そのため、ある分野について学びたいときに、

「ネット記事の次に読む」

くらいのポジションとして、うってつけな本です。

３．新書を活用するメリット

「何を使って学びを始めるか」という部分から自分で考え、学びを組み立てないといけない場面が出てきた場合、自分で学ぶ力を身につける上で、新書は、手がかりの１つになります。

現代であれば、多くの人は、取り合えず、ＳＮＳを含めたインターネットで、軽く検索してみることでしょう。

よほどマイナーな内容でない限り、ニュースやブログの記事など、何かしらの情報は手に入るはずです。

その情報が質・量共に、十分なのであれば、そこでストップしても、特に、問題はありません。

しかし、もしそれらの情報では、物足りない場合、次のステージとして、新書を手がかりにするのは、理にかなっています。

内容が難しすぎず、その上で、一定の纏まった知識を得られるからです。

ネット記事が、あるトピックや分野への

「扉」

だとすると、新書は、

「玄関ホール」

に当たります。

建物の中の雰囲気を、ざっとつかむことができるイメージです。

つまり、そのトピックや分野では、

どんな内容を扱っているのか？

どんなことが課題になっているのか？

という基本知識を、大まかに把握することができます。

新書で土台固めをしたら、更なるレベルアップを目指して、専門書や論文を読む等して、建物の奥や上の階に進んでみてください。

４．何かを学ぶときには新書から入らないとダメなのか

結論をいうと、新書じゃなくても問題ありません。

むしろ、新書だけに拘るのは、選択肢や視野を狭め、かえってマイナスになる可能性があります。

新書は、前述の通り、

「学びの玄関ホール」

として、心強い味方になってくれます、万能ではありません。

例えば、様々な出版社が新書のレーベルを持っており、毎月のように、バラエティ豊かなラインナップが出ていますが、それでも、

「自分が学びたい内容をちょうどよく扱った新書がない」

という場合が殆どだと思われます。

そのため、新書は、あくまでも、

「入門的な学習材料」

の１つであり、ほかのアイテムとの組み合わせが必要です。

他のアイテムの例としては、新書ではない本の中にも、初学者向けに、優しい説明で書かれたものがあります。

マンガでも構いません。

５．新書選びで大切なこと

読書というのは、本を選ぶところから始まっています。

新書についても同様です。

これは重要なので、強調しておきます。

もちろん、使える時間が限られている以上、全ての本をチェックするわけにはいきませんが、それでも、最低限、次の２つの点をクリアする本を選んでみて下さい。

①興味を持てること

②内容がわかること

６．温故知新の考え方が学びに深みを与えてくれる

「温故知新」の意味を、広辞苑で改めて調べてみると、次のように書かれています。

「昔の物事を研究し吟味して、そこから新しい知識や見解を得ること」

「温故知新」は、もともとは、孔子の言葉であり、

「過去の歴史をしっかりと勉強して、物事の本質を知ることができるようになれば、師としてやっていける人物になる」

という意味で、孔子は、この言葉を使ったようです。

但し、ここでの「温故知新」は、そんなに大袈裟なものではなくて、

「自分が昔読んだ本や書いた文章をもう一回読み直すと、新しい発見がありますよ。」

というぐらいの意味で、この言葉を使いたいと思います。

人間は、どんどん成長や変化をしていますから、時間が経つと、同じものに対してでも、以前とは、違う見方や、印象を抱くことがあるのです。

また、過去の本やnote（またはノート）を読み返すことを習慣化しておくことで、新しい「アイデア」や「気づき」が生まれることが、すごく多いんですね。

過去に考えていたこと（過去の情報）と、今考えていること（今の情報）が結びついて、化学反応を起こし、新たな発想が湧きあがってくる。

そんな感じになるのです。

昔読んだ本や書いた文章が、本棚や机の中で眠っているのは、とてももったいないことだと思います。

みなさんも、ぜひ「温故知新」を実践されてみてはいかがでしょうか。

７．小説を読むことと新書などの啓蒙書を読むことには違いはあるのか

以下に、示唆的な言葉を、２つ引用してみます。

◆「クールヘッドとウォームハート」

マクロ経済学の理論と実践、および各国政府の経済政策を根本的に変え、最も影響力のある経済学者の1人であったケインズを育てた英国ケンブリッジ大学の経済学者アルフレッド・マーシャルの言葉です。

彼は、こう言っていたそうです。

「ケンブリッジが、世界に送り出す人物は、冷静な頭脳(Cool Head)と温かい心(Warm Heart)をもって、自分の周りの社会的苦悩に立ち向かうために、その全力の少なくとも一部を喜んで捧げよう」

クールヘッドが「知性・知識」に、ウォームハートが「情緒」に相当すると考えられ、また、新書も小説も、どちらも大切なものですが、新書は、主に前者に、小説は、主に後者に作用するように推定できます。

◆「焦ってはならない。情が育まれれば、意は生まれ、知は集まる」

執行草舟氏著作の「生くる」という本にある言葉です。

「生くる」執行草舟(著)

まず、情緒を育てることが大切で、それを基礎として、意志や知性が育つ、ということを言っており、おそらく、その通りではないかと考えます。

以上のことから、例えば、読書が、新書に偏ってしまうと、情緒面の育成が不足するかもしれないと推定でき、クールヘッドは、磨かれるかもしれないけども、ウォームハートが、疎かになってしまうのではないかと考えられます。

もちろん、ウォームハート（情緒）の育成は、当然、読書だけの問題ではなく、各種の人間関係によって大きな影響を受けるのも事実だと思われます。

しかし、年齢に左右されずに、情緒を養うためにも、ぜひとも文芸作品（小説、詩歌や随筆等の名作）を、たっぷり味わって欲しいなって思います。

これらは、様々に心を揺さぶるという感情体験を通じて、豊かな情緒を、何時からでも育む糧になるのではないかと考えられると共に、文学の必要性を強調したロングセラーの新書である桑原武夫氏著作の「文学入門」には、

「文学入門」(岩波新書)桑原武夫(著)

「文学以上に人生に必要なものはない」

と主張し、何故そう言えるのか、第１章で、その根拠がいくつか述べられておりますので、興味が有れば確認してみて下さい。

また、巻末に「名作５０選」のリストも有って、参考になるのではないかと考えます。

８．【乱読Ｎｏ．７３】「値切りの交渉術」(生活人新書)新井イッセー(著)

［　内容　］
同じモノなら少しでも安く買いたいと思うのが消費者の心理。
しかし現実は、売り手のペースに乗せられて買ってしまうことがほとんどだ。
なぜ、値切ろうとしないのか。
なぜ、上手に値切れないのか。
本書は、価格交渉を有利に進めるために、買い手がぜひ知っておきたい８つのセオリーを伝授する。
今日から使えるデフレ時代必読の書。

［　目次　］
プロローグ　なぜ、値切れないのか（言えそうで言えない「まけてよ」のひと言　いつまでもカモられて、損ばかりする日本人　値切るのは形のあるモノだけではない　ほか）
１　値切りを楽しむ―基本の心得（見栄と羞恥心は百害あって一利なし　備えあれば憂いなし、事前の下準備を怠らない　５Ｗ１Ｈで口説き落とす　ほか）
２　値切りの極意―実践の８か条（“先制口撃”は最大の防御なり―最初に大きくふっかける　モノを射んとせば先ず人を射よ―商品と店、店員を見定める　一に情報、二にデッドライン―スタート前に目標額を設定する　ほか）

［　発見（気づき）　］
買い手の立場からの値切り方法を紹介した本である。
その中でミニバンを脅威の値引きで買ったというくだりがあった。
そのコツとは、
１．モデルチェンジ前
２．ミニバンは利益率が高い
３．メーカーが一押しのクラスを買った
４．家族で見にいった
５．現金で払うことを交渉の中盤でほのめかした
だそうである。
１．項についてはその通り。
２．項についてはまったく根拠がない。
ミニバンは利益率が高いということはない。
３．項も２．項と同様グレードによる利益率の違いはほとんどない。
４．項の営業マンはすぐ契約できるお客さんだと内心ほくそ笑んでいたことであろう。
筆者が特に強調していたのは５．項である。
ローンにかかわる審査等の手続きが簡素化されるので販売店が喜ぶんだそうである。
でも、そんなことはない。
手続きの手間なんかたかが知れている。
それより金利手数料のほうが大事。
販売店にはカーローンのノルマもある。

［　問題提起　］
ここで一つ、交渉のテクニック。
もし多少銀行のほうがディーラーローンより金利が低くても、あまり差がないようならばその分の車両値引きを要求してみること。
値引き額が増えても金利手数料が入ってくるならそちらの方が利益になる。
ただこの本、自動車の項目は賛成できないが、簡単な文章で読みやすいく、専門の交渉学でも言われている理論が散りばめられていて、参考になる。

［　教訓　］
ただ、期待しすぎたからかもしれないが、内容があまりにも希薄で幼稚な部分も多い。
「値切り」のステップを詳細に解説するわけでも、裏技を教えるでもなく、また人間心理を考えるでもなく、わかりきったことをだらだらと述べるだけ。
最近はいろいろな交渉術に関する本が出てるので、比べられるとどうしようもない。
但し、値切りは基本である。
値切ることがはずかしい、なんかせこいと思われがちであるが、関西では「値切られる事を想定した値段」が値札に張っている。
なので特に関西では、値札が全ての世界ではないのである。
例えば、人形のおろし問屋で有名な松屋町筋の人形屋では正札では４００万円の雛人形などがあるが、これ４００万円では売らないものなのだそうだ。
だいたい３００万円前後ぐらいまで下がるとのこと。
これは大阪の商店街にもそういうならわしみたいなものがあり、日本橋では日常的にこの値切る行為が受け入れられてきたのであるが、関東資本の電器屋や大手スーパーの進出により関西でもこの値切る行為が残念なことにはずかしい、せこいと思われてきている。
なので大手スーパーなどはあらかじめ売値＝正札であるが、商店街などの個人商店はまだまだこの値切り精神が関西では息づいていると思われるので、あきらめずに価格交渉してみることをお勧めする。
また、リサイクルショップといえど、大手チェーン店はまず無理である。
店員個人に決裁権が無い場合が多いので聞いても無駄な場合が多い。
でもＦＣで展開しているところは基本的にオーナーが店長の場合がおおいので、結構価格交渉に応じてくれる。
なので最初から諦めずに、聞いてみるだけでも、無駄ではない。
特に最初から「値切禁止」とか言っているお店もあるのだが、関西の個人店舗ならあきらめずに打診してみて、「無理」と即答されるようであれば、深追いしないのが得策である。
感じるのは倉庫系リサイクルショップは比較的価格交渉に応じてくれる可能性が高いのであるが、店舗系リサイクルショップはチェーン店を一元管理している場合が多いので価格交渉は無理な場合がおおい。
さて、まずなんでもかんでも「おっちゃーんこれまけてーなあ」といっていいものではない。
利益はばのある商品と少ない商品を見分けることが必要になる。
ある意味リサイクルショップではかなりの利益はばがあるはずなので新品のお店より値切り易いはずである。
新品のお店では利益はばがない商品というのは原料系の商品が値切れない。
例えば食料品や消耗品なんかは利益はばが狭いとおもわれる。
その点、製品化した商品は比較的値切りやすい。
なので日本橋の電気街は値切りが常識化になっていたわけである。
でも最近はこの日本橋は壊滅状態で悲しい限りである。
そして値切りといっても価格交渉である。
はっきしいってこれ会社や企業では当たり前のことなのである。
それからぜったい値切るときにしてはいけない事がある。
それは商品の欠点ばかりをあげていく事はしてはいけない。
値切り初心者のやりがちなことは「ここのところが汚れているから負けてよ」「ここもちょっとへこんでるし」とダメだしを出しまくれば負けてもらえると思いがちですが、これ逆効果である。
いくら商売でも気分悪い。
これだと売るほうも「別にあんたにこうてもらわんでもええよ」と思うはずである。
なので、値切る時は、これがどうしても欲しいというアピールをするのが一番である。
たとえば「これをずっと探していた」とか「ここのこの機能がすぐれているから欲しいとか」その上で、「もう少し安かったら、即買いなんだけど」てきに押すわけである。
その上で希望価格迄落ちない場合は諦めるか、諦めきれない場合は、価格を下げてもらわずになにかおまけを付けさせる手もある。
あと、複数の物を買う予定なら「抱合せで買うから負けて」は比較的言いやすい方法であろう。
値切ることはなにもはずかしいことでも、せこいことでもない。
仕事の中でも日常的にディスカウント交渉は行われている。
売り手の言い値で買うなんて、ビジネスの世界には考えられない事なのである。
でもコスト的に考えて無理な場合もあるので、買い手側もある程度、その商品について知識がないと、無茶な値切りをしてしまうことになる。
むちゃくちゃな理論で値切りを迫るというのはビジネスではタブーである。
これさえわきまえれば、相手の出方次第で、より安く商品が購入できるわけである。
なのでルールを守って、節度のある「価格交渉」をためしてみては。

［　結論　］
いつ、どこで、誰と、何を、なぜ、どう値切って交渉するのか。
少なくともこの６つのポイントを押さえておけば、交渉における意外な落とし穴を見抜けたり、しなくてもいい失敗を未然に防いだりできる。
◆Ｗｈｅｎ　いつ値切ればいいのか？
これは、どんなタイミングで交渉すればいいのかということである。
まず曜日からいうと、平日より土日・祝祭日のほうがよく、できればそれらの日の午前中がベストである。
午前中は比較的客が少なくて、店員も客に接する時間があるからである。
雨天ならなおいいであろう。
平日ならば午前１１時ごろまでと、午後２時ごろから４時ごろ、それから閉店間際が比較的折衝しやすい時間帯である。
平日のほうが店舗も暇で、じっくりと相手をしてくれそうであるが、平日よりも休日に売上目標を高く設定している店が多いので、交渉するなら断然休日の方が有利なのである。
◆Ｗｈｅｒｅ　どの店のどこで交渉するか？
その商品を目の前にした売場で行うのが賢明である。
実際に商品を手に取り、必要であればマニュアルを見ながらの交渉も悪くない。
商品の説明を店員から聞いているうちに、値引きに関わる意外なポイントが発見できるかもしれない。
要は、商品をはさんで売り手との会話の場を持つことが大事なのである。
◆Ｗｈｏ　誰と交渉するのか？
店には正社員をはじめ契約社員、メーカーからの派遣社員、そしてアルバイト店員などさまざまな従業員がいるが、誰と交渉を持つかで値切りの成否が決まってしまう。
結論からいうと、決定権をもっている売場の責任者とできるだけはじめから交渉することである。
それがダメなら社員と交渉を持つべきである。
"人選"一つで、成否が分かれてしまうこともあるからである。
社員かどうか区別がつかない場合には、「売場の責任者はいますか？」と聞くといいであろう。
◆Ｗｈａｔ　何を買うのか？
まず、買いたいものをリストアップしておく。
事前に調べた他店の価格などの情報を書き込んだメモを持参すると、店員とやり取りする上で役に立つ。
チラシがあれば当然それを持参しておく。
商品の特徴などについても必要最小限の予習はしておくべきで、店員に説明されて初めてその商品の機能がわかったというのでは、値引き交渉に臨む資格はない。
◆Ｗｈｙ　なぜ値切るのか？
例えば、デジカメ。
数店をはしごしてチェックすると、数千円から高額なものだと１万円近くの価格差があることに気付くはずである。
しかもそのような商品も半年我慢すればバーゲンセールの対象品として名を連ね、さらに格安で手に入れることができる。
つまり、定価はあってないようなものなのである。
そう考えると値切って当然、値切らなくては損なのである。
デパートでもものによっては値切れるし、ホテルの宿泊料金や学習塾、スポーツクラブの入会金まで値切れるのである。
価格についての固定観念を突き崩すのが、値切りでもあるのである。
◆Ｈｏｗ　どう値引かせるのか？
俗に定価の６０～８０％が仕入れ価格だといわれている。
そこで、まず目標としたい値引き額であるが、比較的値引き幅の大きい家電製品などを例にすると、１０～３０％といったところであろうか。
高価になればなるほど高額の値引きが期待できる。
支払いは昔も今も現金一括払いが最も歓迎される。
キャッシュに勝るものはない。
クレジットカードにサインするよりもさっと現金を目の前に出す方が、相手は値引きに対して積極的になるはずである。
また、まとめ買いやグループ買いはさらに１、２％の値引きも期待できるし、値引きがダメならばおまけをつけてくれるよう頼むのも手である。

［　コメント　］
値切りの交渉は、基本的に、ちゃんと会話する→購入の意思があることを見せる→他店の見積り書を渡すの順で進行していく。

ホップ、ステップと進んで最後のジャンプで一気に値切り倒すのである。
もう一つ付け加えれば、最後に「ダメ押し」をすることであろうか。
ポイントは、定価の半分をいきなり値切ることである。
これは極めて単純な考え方で、１割引をスタート地点にして交渉を開始するよりも、思い切って５割引きから始めたほうが結果的に値引きの幅がおおきくなる可能性があるからである。