【ことばのリズムで深呼吸】まあるくてやわらかいことば
「私たちはある国に住むのではない。
ある国語に住むのだ。
祖国とは国語だ。
それ以外の何ものでもない
(英語訳 One does not inhabit a country; one inhabits a language. That is our country, our fatherland — and no other.)」
と言ったのは、ルーマニア出身の思想家、エミール・シオランである。
「告白と呪詛」シオラン(著)出口裕弘(訳)
シオランがいう
「ある国」
とは、私たちにとっては、日本の
「国土(country)」
を表していて、
「ある国語」
とは、
「日本語(Japanese language)」
のことであり、先祖代々現在に至るまで、そのことば(日本語という国語)によって紡がれてきた言語的・文化的な揺り籠(枠組み)が
「祖国(our fatherland)」
だということになる。
そうなら
言葉は
こころの架け橋
だと
思いませんか?
海を
越えて
時間さえも
越えて
言葉は
旅をします
「ベル・ジャー ( I am I am I am)」シルヴィア・プラス(著)小澤身和子(訳)
ふとした時
によみがえる
大切な思い出
その中に
まだ
叶えられていない約束
や
伝えられていない想い
を
見つけたら
自粛しないで
その続きを
今
描いてみませんか?
「生死一如(生きること・死ぬことは、本来ひとつのもの)」と「身土不二(私のからだと大地は切り離せない、ひとつのいのち)」を詠じた山頭火の辞世の句は、雲の湧きたつ秋空に向かって、〈いのち〉の境(幽冥)をゆったりと、そして静かに超えていく。
「もりもり 盛りあがる 雲へあゆむ」
翼を手にした言葉
は
心をくすぐり
時には揺らす
何かを想う気持ち
は
きっと
大切な
つながりに
気付く
きっかけをくれるから
「灯台へ」(新潮文庫)ヴァージニア・ウルフ(著)鴻巣友季子(訳)
欲しいのは
手ざわりのある
言葉だけ
あの時
行けなかった場所
も
言えなかった言葉
も
今なら
選び取れるかもしれません
あなたにしか
描けない続きがある
そうして
結び直したつながりは
もっと
あたたかな未来へと
続いていくはずです
「探していたのはどこにでもある小さな一つの言葉だった」 若松英輔(著)西淑(イラスト)
【参考記事】