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【メモ(memo)】今あるところから始めよう

現在、来年度に向けて、大幅な組織改正に伴って「組織メンバーの能力と意欲が高い状態」をどうつくり上げたらよいか、鋭意、検討中なのですが、成長する組織の重要な要素は、次の5つのポイントであると実感しています。

①競争優位性のある戦略があり組織に浸透している

②組織メンバー個々の能力と意欲が高い

③組織内相互の関係性が良好である

④素早く環境変化をとらえ対応できている(定期的な改善行動がとれている)

⑤今の成長の柱だけでなく次の成長の柱を仕込み続けている

今回は、②項である育成において、組織メンバー個々の能力と意欲が高い状態を、どうつくり上げていくのか。

そこに潜む矛盾とは何で。

どう乗り越えていくのかを考えていきたいと思います。

まず、有名な「ロミンガーの調査」では、

人が育つ要素

・7割は仕事の経験

・2割が上司などの薫陶

・1割がOFFJTなどの研修

と言われています。

つまり、育成には、仕事の機会を多く与える事が最も重要となります。

それでは、能力を高めるために必要なこととは何か?

まず、能力を高める支援で、一番大切なことは、目標設定です。

次に、大切な支援は、計画立案です。

続いて、大切な支援は、実行段階でのフォローアップです。

そして、メンバーの意欲を高めるために必要なこと、つまり、モチベーションを高めるためには、大きく2つのポイントがあります。

1つは、対象のモチベーションの内容・性質に留意し働きかけることと、もう1つは、順番・プロセスに留意し働きかけることです。

モチベーション(※1)の内容・性質に関する理論は、様々あり、代表的な例として、ハーズバーグの動機付け・衛生理論(※2)があります。

※1:
モチベーションとは、目標に向けて行動を喚起する心理的エネルギー、行動を促す動機。
俗にいう「やる気」。
人は、他の経営資源と異なり、その貢献度合いがモチベーションに左右される。
モチベーションは、個人の置かれた環境や内発的な欲求によって形成される。
何を重視するかについては個人差があるが、企業は個人のモチベーションに対して間接的に影響を与えることができる。
モチベーションの代表的なものに、「金銭的動機」「社会的動機」「自己実現動機」がある。
金銭的動機は、生活に必要な金銭を得たいという最も一般的・根本的なものだ。
社会的動機は、一定の価値観を共有できる集団(組織)の中で社会生活を営み、その中で注目や評価を受け、権力を得たいという欲求から生じる。
自己実現動機は、自己を成長させたい、社会的使命感を満たしたいという欲求から生じる。

※2:
ハーズバーグの動機づけ・衛生理論とは、F.ハーズバーグによって提唱されたモチベーション理論。
ハーズバーグは、仕事に対する満足をもたらす要因と不満をもたらす要因が異なることを示し、前者を動機づけ要因、後者を衛生要因と呼んだ。
動機づけ要因には、仕事の達成感、責任範囲の拡大、能力向上や自己成長、チャレンジングな仕事などが挙げられる。
衛生要因には、会社の方針、管理方法、労働環境、作業条件(金銭・時間・身分)などが挙げられる。
動機づけ要因を与えることにより、満足を高め、モチベーションを向上させることができる。
一方、衛生要因に対して手を打つことにより、不満は解消されるが、そのことが満足感やモチベーションを高めるとは限らない。

この理論によれば、モチベーションへの働きかけは、

「マイナスを0に戻す」ものと、

「0をプラスにするもの」があり、

それぞれ異なります。

前者の「マイナスを0に戻す」ためには、厳しすぎる指導をやめることや、悪条件の労働環境を改善することが挙げられます。

後者の「0をプラスにするもの」としては、承認することや、本人が望む仕事を付与すること、責任範囲を拡大させることが挙げられます。

次に、順番・プロセスについて、考えていきます。

モチベーションの順番・プロセスについては、考えるための参考として、期待理論(※3)があります。

※3:
期待理論とは、人がどのような心理的プロセスで動機づけられ、行動の選択とその持続がなされるのかというメカニズムを理論化したもの。
動機付けは、職務遂行の努力が何らかの個人的報酬に繋がるであろうという期待と、その報酬に対して人が持つ主観的価値の二つの要因で決まるとした。
個人が報酬に高い価値を認め、努力すれば報酬が得られると感じる期待が高ければ高いほど、人はより一層努力するとする。

人間のモチベーションは、

「努力が成果に結びつく期待」×「成果が報酬に結びつく期待」×「報酬が魅力的である期待」

によって上がるという内容です。

しかし、実際にメンバー育成に取り組んでみると、様々な矛盾によって、達成が阻まれることが大いにあります。

どのような矛盾があり、それは、どのように乗り越えればよいのでしょうか。

そこで、とても大切なことは、本人を理解し、望む報酬と紐づけてあげることが重要となります。

例えば、忙しさを解消する行動が、忙しくてできない場合があります。

では、この矛盾をどう解消するか?

ヒントは、選択をすることです。

では、この矛盾をどのように乗り越えると良いか。

ヒントは、行動規範です。

モチベーションのケアを行いつつも、そもそもの行動規範を守ることを組織内に根付かせ、皆で確認し合うことができていれば、自律性ある組織の基盤は揺らぎません。

これが、依存的・他律的な状態に陥らないためのポイントになります。

但し、能力を高めようとすれば、意欲が下がったり、また、意欲を高めようとすれば、能力が下がったりするのが難点です。

では、この大きな矛盾をどう乗り越えればよいのでしょうか。

ヒントは、順序であり、例えば、以下の様に、大切なことは、状態を見ながら順序を立てて、意欲、能力と往復しながら、根気よく支援していくことになります。

自分のダメなところは、と、ついよくないところを見るクセ、ありませんか?

自分の良いところは何だろう?、と考えてみてはどうでしょう。

私たちは、ないものねだりが得意ですが、ときに、見直してみるのもいいものですね。

ないものを手に入れるのは素晴らしいけれど、そればかりを見ていると、ないものばかりにフォーカスしていると、そこに、すでにあるものが、見えなくなってしまうときもあります。

本当の自分を知ることをジャマするバイアス1.暗黙のエゴイズム

本当の自分を知ることをジャマするバイアス2.選択的不注意

本当の自分を知ることをジャマするバイアス3.他人は自分より幸せだ現象

本当の自分を知ることをジャマするバイアス4.マイノリティへの意識過剰

本当の自分を知ることをジャマするバイアス5.スポットライト効果

本当の自分を知ることをジャマするバイアス6.ファビング

本当の自分を知ることをジャマするバイアス7.自己の過大評価

本当の自分を知ることをジャマするバイアス8.マイクロ・フレンドシップ

「How Do We Know Ourselves? Curiosities and Marvels of the Human Mind」(English Edition)David G. Myers(著)

ないものから始めるよりも、あるものから始めて、それでうまくカバーしたり、それをさらによくしたりもできます。

本当の自分を知ることをジャマするバイアスっていっぱいありますよね。

だから、前述の各バイアスに注意しながら、ないもの、ダメな部分、マイナスのところから始めるよりも、あるものから始めたらいいのです。

減点方式ではなくて、加点方式に変えるのです。

加点方式には、良いところもあります。

減点方式だと、上限が決まっていて、下がるところを知らないけれど、加点なら、下限は決まっていても、上限が決まっていない。

100点以上にもなれます。

減点方式だと、マイナスにまで落ち込むことだってあるのです。

同じ点数をつけるのなら、加点方式が絶対おとくです。

自分に、そうできるようになると、もっと良いこともあります。

それは、周りの人にもそうできるようになること。

自分のダメな部分探しをしているなら、きっと、無意識に、他人に対しても同じことをしているはずです。

人に対しては優しくありたい、と思うのは自然だけれど、自分に対して優しくないと、これが自然にできないのです。

寛容や受容は、自分にもあてはまると考えてください。

寛容や受容というと、今の自分を受け入れることですが、今の自分を受け入れたら、ダメな部分を容認することになってしまうから、受け入れない、という考え方もあるかもしれません。

そして、自分に厳しく鞭打って、というやり方もあるのかもしれませんね。

でも、私は、その言葉使いを変えることを強くお勧めします。

ダメな部分、と言うことで、自分の意識に与えるマイナスダメージがあまりに大きいからです。

たとえば、「だからあなたはダメなのよ」なんて言われたら、誰だって気分が悪くなります。

ダメな部分、というから受け入れがたくなるのです。

言葉を変え(考え直し)てみましょう。

ダメな部分なのではなくて、これから少し手を入れていくところ、という風に言い換えればいいのです。

それだけで、聞こえ方も違うし、そうすれば、自分に対するイメージも、まるで変わってしまいます。

そんな言葉だけで、と思うかもしれませんが、言葉には、そうしたマジックがあるのです。

現実を見ていない、ダメなものはダメだ、という言い方もあるでしょうが、それは、ひとつの意見であり、言葉を変えることも、ひとつの意見です。

どちらを選択するのか、自分で決めればいい。

あくまでも、自分が信じる価値について、改めて思いをめぐらすのが、重要です。

誰がどう言おうと、自分が選ぶ言葉で気分が、少しでもアップして、次へと進む気持ちになれるなら、それだけで儲けものです。

よって、まずは、自身が、どちらに偏りがちなのかを把握すると同時に、状況や相手を見て、適切な働きかけができるように、行動を往復・修正する習慣を身に着けていきたいものですね。

【今日の短歌】

「ミュージカルについてあまり悪く言わなかったことが結果的にプラスに働いた」
(佐クマサトシ「ゲームみたいで楽しい」(Website「TOM」より))

「観覧車回れよ回れ想ひ出は君には一日(ひとひ)我には一生(ひとよ)」
(栗木京子『水惑星』より)

「人はみな馴れぬ齢を生きているユリカモメ飛ぶまるき曇天」
(永田紅『日輪 永田紅歌集』より)

「「現象」に創りだされた「考え」が「現象」のことを考えている」
(小笠原魔土『真夜中の鏡像』より)

「今日の水は流れいるかと問う我に年々異なる者が答える」
(長谷川富市『水の容体』より)

【『方丈記(冒頭)』鴨長明】
ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。

淀みに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しくとどまりたるためしなし。

世の中にある人とすみかと、またかくのごとし。

たましきの都のうちに、棟を並べ、甍を争へる、高き、卑しき、人のすまひは、世々を経て尽きせぬものなれど、これをまことかと尋ぬれば、昔ありし家はまれなり。

あるいは去年焼けて今年作れり。

あるいは大家滅びて小家となる。

住む人もこれに同じ。

所も変はらず、人も多かれど、いにしへ見し人は、二、三十人が中に、わづかにひとりふたりなり。

朝に死に、夕べに生まるるならひ、ただ水のあわにぞ似たりける。

知らず、生まれ死ぬる人、いづかたより来たりて、いづかたへか去る。

また知らず、仮の宿り、たがためにか心を悩まし、何によりてか目を喜ばしむる。

その、あるじとすみかと、無常を争ふさま、いはば朝顔の露に異ならず。

あるいは露落ちて花残れり。残るといへども朝日に枯れぬ。

あるいは花しぼみて露なほ消えず。

消えずといへども夕べを待つことなし。

【ウパニシャッド(マヌ法典)】

虚空である。
すべてこの世に存在するものは、じつに虚空からのみ生ずる。
(また、死ぬときには)虚空のうちに還っていくのである。
虚空はじつにそれらの存在よりも優れているからである。
虚空は究極の根底である。
『チャーンドーギヤ・ウパニシャッド』
(「この世界の帰趣するところは何ですか?」という質問に対して、哲人プラヴァアーハナ・ジャイヴァリが答えた言葉。 虚空──ブラフマン)

虚空のなかにあって人は楽しみ、また人は楽しまない。
(人びとは合したときに楽しみ、離れたときにたのしまない)虚空の中で人は生まれ、虚空に向かって(芽などは)発生する。
虚空を念想せよ。
『チャーンドーギヤ・ウパニシャッド』

人がこの世において、いかなる意向をもったとしても、この世を去ったのちには、かれはそのとおりに意向がかなう。
『バガヴァッド・ギータ』

【参考図書】
「認知行動療法実践ガイド 基礎から応用まで 第2版 -ジュディス・ベックの認知行動療法テキスト」ジュディス・S・ベック(著)伊藤絵美/神村栄一/藤澤大介(訳)

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