顧客の「言語化されない欲求」を「売れるモノ」にする方法
これまでのマーケティングでは、顧客のやりたいことをニーズ(目的)、顧客の欲しいものをウォンツ(手段)としてきましたが、AIの出現でニーズとウォンツの境が曖昧になってきました。
例えば、アレクサは「商品(目的)」を売ってはいますが、本当に売っているモノは、顧客が店舗に行かなくてもドンピシャな商品を提供される「体験(手段)」です。
つまり、求めるものが「商品」ではなくなり、買い物時間の短縮に変わっているのですが、顧客は自分の欲求を言語化していないのでこのことに気づいていません。
今後、企業が成果をあげるには多様なメンバーと協働、学習、失敗を通して変化を見極め、ニーズを言語化し、イノベーションを起こすことが求められます。
今日は、それについてお話ししていきます。
1.airbnbは「言語化されないニーズ」を言語化して成功した企業です。
皆さんよくご存じのairbnb(エアビーアンドビー)は、「言語化されないニーズ」を言語化して成功した企業です。
airbnbは、一日当たり5万から6万の利用者があり、世界200都市、65000のホストを持つ巨大な民泊ネットワーク企業です。
airbnbのスタートアップのプロセスを紐解くと、まさに「言語化されないニーズ」を言語化して成功した好例です。
その結果、1週間で予約が2倍になり、その後着々と業績を伸ばすことができました。
2.「言語化されないニーズ」とは何だったのか?
このエピソードからairbnbには、顧客(部屋を探す人)とホスト(提供者)の2つの側面がありました。
どんな人がairbnbの顧客なのか?
多くの顧客は部屋を探すとき、自分の欲求を言語化する前にWebに掲載された写真とテキスト情報で、部屋の雰囲気とホスピタリティーを判断しています。
つまりWebの質次第で、顧客の「言語化できない欲求」を言葉にできるかどうかということになります。
airbnbの本社に行くと、正面に大きな写真パネル3枚があるそうです。
その写真とは、はじめてジョーゲ・ビアとブライアン・チェスキーの部屋に泊まった3人のお客の写真です。
1人目は、ユタ州の45歳の男性で、ベッドの上で大きなあくびをしている写真。
2人目は、ボストンの35歳の女性で、頭にタオルを巻いて歯を磨いている写真。
3人目は、30歳のインド人男性で、冷蔵庫に首を突っ込んでいる写真。
つまり、airbnbが考える「言語化されない顧客の欲求」とは、3枚の写真のように心からリラックスできる場を提供することだと考え、そのためにはホストファミリーと良好な関係が必要だと考えました。
ホスト(提供者)とは、どんな人達なのか?
airbnbは、ホストをビジネスパートナーとして位置付けています。
なぜならairbnbにとってホストは、3つの写真のように「顧客の言語化されない欲求」を満たすため、一緒に考えてくれる人達だからです。
3.「言語化されないニーズ」をどうやって見つけるのか?
ジョーゲ・ビアとブライアン・チェスキーは、ニューヨークに行き何をしたのか?
ジョーゲ・ビアとブライアン・チェスキーが実践した5つのプロセスは次の通りです。
What(現状把握)
Why(仮説立て)
Why(課題設定)
How(戦術の実践)
Result(結果)です。
これらのプロセスを通して、彼らはウェブサイトの写真を見直し、ホストファミリーを新たなビジネスパートナーとして位置付けることができました。
「顧客の言語化されないニーズ」は、現場にいってさらっと見渡しただけでは決して見つかりません。
現場に出向き、What~Resultまでの5つのプロセスを記録し、観察してはじめて見えてくるものです。
What(現状把握)
Why (仮説立て)
Why (課題設定)
How (戦術の実践)
Result(結果)
皆さんはいかがお考えでしょうか?