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「メンバーの欠点を見ない」マネジメント術、仕事術、コミュニケーション術の話
人間の本質は、自制しないと「性悪説」になり勝ちです。
※性悪説 人は本来弱い生き物で、誘惑に負けて悪に導かれ易いという意味
ビジネスが成功したとき、メンバーと喜びを分かち合ったのに、
人は、時と共に味わった感動が薄れていきます。
これとは反対に、メンバーが大きな失敗をしたり、指示に従わなかったことは、鮮明に記憶しているのではないでしょうか?
この人間の業をしっかり意識してマネジメントしないと、メンバーと成果を上げることが難しくなります。
今日は、それについてお話します。
1.人間は、他人の失敗や誹謗中傷を忘れない生き物
ポジティブな記憶は薄れていくのに、ネガティブな記憶が鮮明に記憶される理由について、アメリカのウェグナーという心理学者が、1987年に「シロクマ実験」という実験を行いました。
被験者を3つのグループに分けてシロクマの映像を見せたあと
Aグループには「シロクマのことを記憶して下さい」
Bグループには「シロクマのことは、覚えておいても、忘れてもいいです」
Cグループには「シロクマのことは、絶対に考えないで下さい」
と指示した後、鮮明にシロクマのことを覚えていたのは、Cグループだったそうです。
その理由は
Cグループの人達は、シロクマのことを考えないように常に自己チェックしていると、いつの間にかずっとシロクマのことを考えるようになってしまうからです。
これをビジネスの現場に置き換えると、
・自分に悪影響を及ぼす他人の失敗
・他人から受けた誹謗中傷
のようなネガティブな情報を考えないようにすればするほど、記憶に深く刻まれることになります。
反対にポジティブな情報は、故意に思い出す必要がないので、次第に記憶が薄れていくことになります。
2.メンバーのマネジメントは、ポジティブなことだけ記録すると「質の高い情報」が手に入る。
この実験からすると、人はネガティブな情報は簡単に忘れないのですから、放っておいてもよい記憶と言えます。
寧ろポジティブな情報こそ、しっかり時系列に記録し、共有しておかないと時と共に記憶が薄れ、質の高い情報が消え去ってしまいます。
ポジティブな情報、ネガティブな情報。
これをどう扱うかが、成果が生みだす鍵のようです。
このことについて、ノースカロライナ大学で行われた興味深い実験がありましたので抜粋します。
職場 で 話さ れる 会話 の ポジティブ な 言葉 と ネガティブ な 言葉 の 割合( ポジティビティ 比) を 調べ た ところ、
その 比率 が 3 対 1 以上 で ポジティブ な 言葉 が 多い チーム は、 ビジネス で 極めて 高い 利益 を 挙げ、 チーム メンバー の 評価 も 高い もの でし た。
一方、 ポジティビティ 比 が 3 対 1 を 下回っ た チーム は、 会社 への 愛着 が 低く、 離職率 が 高まり まし た。
樺沢紫苑. 学びを結果に変えるアウトプット大全 .サンクチュアリ出版
3.メンバーのモチベーションを上げる管理術
最も重要なことは、メンバーからあがる報告書、メール、SNSの情報をWhat,Why,Howを時系列に記録し、メンバーと共有することです。
これをベースにメンバーとコミュニケーションをとっていけば、メンバーはポジティブな情報を自発的に発信するようになってきます。
1.What(問題) 何が起こったのか?
2.Why(仮説) 何故それが起こったのか?
(課題) 本質的な問題は何か?
3.How(戦術) どうするのか?
4.Result(結果) ・やっったこと、できたこと
・その人が生み出した成果
※できなかったことは記録しない
3.成果に繋がる質の高い情報を得るツール「UXノート」
下図は、私が15年間使ったWhat,Why,How,Resultを時系列に記録できるマネジメントノートです。
このノートはUXノート(ユーザーエクスペリエンスノート)と名付けました。
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常日頃、メンバーからあがる情報や、見聞きした情報をUXノートに時系列に記録し、翌月月初にこのノートを使ってメンバーと「解決すべき問題」と「次月の課題」と「戦術」を議論していました。
こうしてマネジメントすれば、メンバーの「やったとこと」、「できたこと」、「成果」が明確になり、ポジティブな意見がどんどんでてくるようになります。
もしご興味ありましたらご一報下さい。
詳しくお話しします。