葛山久子「親愛なる西村さんへ」(『文學界』2022年7月号)
西村賢太と初めて会ったのは彼の亡くなる9年と9か月前のことだが、私達には共通の知人がいなかった。
生前彼が東京で編集者やバンドマンと呑んでいるとき、私に電話を繋いで話をさせてくれたことがあったが、ただそれきりのことで、没後、誰かと心を分かち合うといったようなことはできなかった。自業自得と云い条、全く一人で抱えているしかなかった。
それは、どうにかなるんじゃないかと怖いほど本当にしんどくて、ネットでようよう「グリーフ・ケア」という語に辿り着き、TEDの見知らぬカウンセラー及びその聴衆の皆さんと一緒に、泣きながら笑ったりして正気を保っていた。
ありがとう、この人 ↓↓↓
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