
年末年始は社会インフラが不便になるが、近い内にそれが平常運転となる(労働人口の減少により)
年の瀬となると、都心部でも人の往来が極端に減っていると肌で感じられる。電車内の乗客は比較的スカスカになるが、スーツ姿の人が減る代わりに、キャリーバッグをガラガラと引きずる家族連れやカップルが異様に増える。そして、電車の便数は祝日運用となり、多くない。
また、都内のタクシーが異様に少なくなる。平日でもタクシーをつかまえるのは難しいのに、この時期はさらに極端に減少する。仮に運良くタクシーをつかまえたとしても、ドライバーの年齢が異様に高く、運転中の事故が不安になる。比較的若いドライバーはどこにいるかと言えば、空港へ向かう、もしくは空港から都心へ向かう、年末で財布の紐が緩む金払いの良い客を狙い、都内より空港周辺に滞留していることが多い。
年の瀬の時期になると、飲食店の営業時間も通常とは異なる。平日なら必ず営業しているチェーン店が閉まっていたり、営業していても時短営業となり、すぐに閉店してしまう。そして、営業時間が短いにもかかわらず、料金は割り増しとなり、提供されるサービスの質は普段より低レベルになる。
そのため、年の瀬に平日と同じサービスを期待するのは難しく、注意が必要だ。それにもかかわらず、このような時期でも通常と同じ行動をとってしまう人は多い。例えば、Googleマップなどでお店を調べ、「営業中」という表示を信じて重いキャリーバッグを引きずりお店へ向かった結果、閉まっている現場に遭遇する観光客をよく見かける。これはまさに「骨折り損のくたびれ儲け」である。
この時期は、お店が営業しているかをあらかじめ電話で確認する(正直、これは面倒だ)が、SNS運用をしっかり行い、営業時間をきちんと告知しているお店を選ぶなどして、自分自身で対策を講じるしかない。
こうした年の瀬特有の不便を感じながら思うのは、現在進行中の少子高齢化による労働人口減少が引き起こす社会インフラやサービスの質の低下を、先取りして体験しているのではないかということだ。
すでに社会全体のサービスの質が低下しているのを肌で感じ、その流れに歯止めがかかる気配はない。そのため、2024年の年の瀬で感じる「電車が来ない」「タクシーがつかまらない」「営業しているお店が少ない」という不便さは、10年以内に平日のデファクトスタンダードになる可能性が高い。
少子高齢化による社会インフラの崩壊はこれからが本番だ――そう肝に銘じさせられる年の瀬である。