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場を支配する能力(記者会見にて)

個人や組織が不祥事を起こした際、その収拾のために謝罪会見が行われる。この会見の目的は、主にダメージコントロールに集約され、会見を開く側が「勝者」となることは稀だ。ダメージコントロールの具体的な要点としては、大手メディアからの非難のトーンを和らげることと、ブランドイメージへのネガティブな影響を最小限に抑えることとなる。

組織で謝罪会見を経験したことがある人ならわかると思うが、記者会見には相当な手間ながら時間は限られ、それなりの費用がかかる。まず初めは、不祥事の詳細を正確に把握すること。その概要は当然、メディア側も把握しているため、当事者側が把握できていない事態は避けなければならない。不祥事の詳細を明らかにするためには、現場から多くの情報を収集する必要があるも、組織によっては風通しが悪く、適切な情報が迅速にトップに届かないことは往々にしてあるのが嫌なところ、

また、メディアがどれほどの情報を握っているかを把握することも重要となる。多くの組織は日頃からメディアと接触を図り(接待のような側面も含めて)、マスコミとの人間関係をしっかり構築し、必要な情報のやりとりをしている(はず)。ただ、謝罪会見の直前の場合は、懇意の記者も手札を見せず、情報を取得するのは難しい。

こうした情報を集約しながら、記者会見用の想定問答集を作成し、同時並行で会見場の準備を進める。しかし、時間的制約がある中で、トップが冷静な判断を下せず、直前になって指示が二転三転することで準備が混乱することも少なくない。その結果、当日の記者会見が超絶グダグダな状態でになる。

そのため、謝罪会見は、平時から準備しておくことに越したことはない。そこで、独断と偏見から、不祥事に関連する記者会見で評価できるものあげるので、参考にして欲しい。

個人の記者会見:2019年7月20日 宮迫博之

組織の記者会見:2020年10月1日 東京証券取引所(システム障害)

上記の記者会見についての詳細な解説は他の記事に譲るとして、これらの会見がどう素晴らしいかはご覧の通り。

記者は攻撃的に挑発してくるも、絶対にそのペースに乗ってはならない。あくまでも自分たちの非のある箇所は認め、違う箇所は切り分けて丁寧に説明している。

何より凄いのは、どちらの記者会見も、記者会見の空気感、場を支配する能力はどちらが凌駕しているかは一目瞭然だ。

どうか上記の記者会見を参考に、危機を乗り越えて下さい(笑)。

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