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映画「夢見る給食」(及び類似作品)を100倍くらい楽しむイベント案

3月に東京の羽村市で映画「夢見る給食」の上映&マルシェのイベントがある。

タイトルと雰囲気だけは知っていた映画で、レビューをいくつかチェック。軒並み高評価だけど、何かしっくりこない。

その中で見つけたこちらの記事に、私が言語化できなかったもやもやの原因が書かれていました。

オーガニックの効果(とされるもの)

映画の中で、オーガニック給食は”ミネラルが豊富である”とうたわれ、オーガニック給食には市販の弁当の数倍のミネラルが含まれていて「驚きです」などの主張がなされています。

【根拠は?】”オーガニック給食で病気にかかりづらくなる” という映画…自治体で上映の是非は
https://note.com/ideal_hyssop8446/n/na1dd543867f7

本文出だしの4行でレッドフラグ。

というか自分的に一発退場でした。

給食と市販の弁当の比較の意味とは……
五つ星レストランのコースとも比較してみましょうか?

それ以降の内容とツッコミはぜひmaruさんのnoteの続きを読んで、私と一緒にモヤモヤ、ゾワゾワしましょう。


買い物は投票

映画も見ないで批評はいけないなぁと思いつつも、noteの内容が本当だとしたら、到底最後まで鑑賞に堪えられる自信もなければ、

「オーガニック給食で病気にかかりづらくなる」

この表現を、たとえどんな文脈であれ言ってしまう映画は、農家として、いち消費者として、肯定する事、応援することはできず、観ることはできないと感じた。

令和の世で、まだこんな映画の話が通用するのか……


上映会+マルシェは名案

映画の内容はさておき、上映会+イベントは映画の世界観の余韻に浸りながら、現実世界へとゆっくりシフトするような楽しい企画だと思う。
例えば、キャンプをテーマにした「ゆるキャン△」を観た後に、キャンプ飯を食べるとか。
今回の映画であれば、オーガニック給食って夢じゃないんだよ、やろうと思えばできるよ(ってお話だと理解した前提で)会場出たところに、オーガニック野菜とか、オーガニック食品が食べられるブースがあったらそれはそれで(映画の内容はさておき)映画体験として素晴らしい企画だと思う。

た だ し

その映画でオーガニックがどのように定義されているかわからないけど、あくまでもこの日本でオーガニックと名乗れるのは有機JASをとった野菜のみ。
そこらの自称オーガニックも、野良有機も、名乗ってはいけない。
もちろん名乗ったからって、逮捕はされないからオッケーと思う人もいるかも知れない、一般人にとっては認証あってもなくても中身は同じだ!と思う人もいるかも知れない。言葉狩りだ!と反骨精神で使う人もいるかもしれない。
「ルール、ガイドラインを守る」という農家やイベント主催者の姿勢が試される。
モラルの問題である。

じゃない方の野菜

そのオーガニックマルシェ、有機JAS農家、有機JAS野菜が足りないからと、慣行栽培や減農薬野菜、野良オーガニック野菜を並べたら、オーガニックは名乗れず、「マルシェ」とだけ言える。
それはそうなのだけど
「オーガニック給食で病気にかかりづらくなる。発達障害の症状が落ち着いたって言う人がいる。」とオーガニックいいねのシャワーを浴びた後、ふんわりナチュラルオーガニック風な雰囲気でマルシェしてたら、どこにもオーガニックって書いて無くても誤解を誘導してしまわないかね?
お客様が勝手に誤解しただけです。と言えばそれまでなんだけど…

事実、雰囲気が素敵な無人販売所で
「このほうれん草、農薬の味しなくておいしい。やっぱ農薬使ってない野菜いいわね」
って慣行栽培のほうれん草を手するお客様に言わたからね(農薬使いましたよー、ってお伝えしてもちゃんと買ってくれました……農薬の味とは……)


この手の自然って素敵系の映画に限らず、鑑賞後気持ちよい疲れのような風呂上がりのような心地よい感覚があると思います。
そんなお風呂上りのようなホカホカな心で、オーガニックと思って手にした野菜が「あ、これオーガニック野菜じゃないんで」ってちょっとお客様がっかりしないかね。
例え農薬不使用でも、有機JASとってないと「オーガニック」じゃないので、定義的にそれも立派な「じゃない方の野菜」というのも周知したい。

そして売る方はどの面下げて映画の中で、病気の原因だとか、発達障害の原因とか栄養価が下がっていると、表現されるような野菜を胸張って売れというのかね。たとえそれが栽培期間中農薬不使用だとしても。


どう感じるかは自己責任だけど、その発信が呪いになるって知ってた?

この手の作品や文章にあるあるなのですが、農薬で発達障害になる可能性があるとする前提が、農薬をがぶ飲みしているのか、超微量の用法容量を守った使い方なのか提示していなかったり、量の概念を無視した発信も多く見受けられます。
「そういう研究もあります。あとは自分で調べてね、どう受け取るかはあなた次第よ~」といい加減な情報をネットに流す人もいます。

全ては毒物である。毒かどうかは量で決まる。

この考えを抜きに農薬=発達障害の原因とする発信で、悲しんだり悩んだりする人がいることを知っているだろうか?
「○○で癌になる/発達障害になるって研究もあります。あとは自分で調べてね、どう受け取るかはあなた次第よ~」
全然気にしない人もいれば、水一つとっても慎重になる妊婦さん、や病気を持つ方、病気の家族を持つ方の呪いになってしまう可能性もある。
(うまく伝わるだろうか……もどかしい)
オーガニックの食品を食べなかったから必ず、障害を持って生まれてくるわけではない。
F1種を食べたら不妊になる訳ではない。
それでも、妊娠中や病気を患っているとちょっとした情報に振り回され、自分が調理した食事、選んだ野菜、食品で家族の運命を変えてしまったと思い悩む人は決して少なくはないと思う。
普通だったら、そんなわけないじゃん。って笑って済ませるレベルのデマでも真に受けてしまう程、追い詰められてしまう人もいるって、知って欲しい。

子どもが落ち着くならまずは少年院からじゃないか?

オーガニックを食べると(なぜか)現れる症状(?)の一つに発達障害の落ち着きがある。
小学校の事例がやたら多いけど、なぜ発達障害を抱える人がいる支援学校や、問題行動がある少年院でオーガニックを提供しないのだろう?
実績がないのかな?

ガバガバガイドライン

ちなみに農水省のガイドラインでは、有機JAS認証取ってなくても、お客様に直接説明できる場(オンライン含む)であればオーガニックって看板を出すことはガイドラインの規制の範囲外だそう。

76ページ
2 規制の対象とならない情報提供
(1) 新聞、雑誌、インターネット等の媒体における有機農産物を取り扱っている等の説明文(指定農林物資の写真やイラストを掲げそれが有機である旨を説明しているものを含む)
(2) チラシ、パンフレット、ニュースレター及び看板における上記と同様の記載

https://www.maff.go.jp/j/jas/jas_kikaku/pdf/qa_nousan_kakou.pdf
有機農産物及び有機加工食品のJAS規格のQ&A
農林水産省 食料産業局 食品製造課

古来から伝わる伝家の宝刀「ダメって言ってないからやっていいよね」抜いちゃいます?

「夢見る給食」及び食の安全安心系、農業系映画鑑賞を100倍楽しむ案

今度は上映自体をどのようにしたら、食の安全安心系、農業系映画を楽しめるか考えてみた。

①上映前に、前座として種苗会社、農薬、肥料メーカー、都道府県普及センターの職員、食品衛生に関わる機関、土壌の専門家等による、食の安全をどのように守っているか、現状をわかりやすく解説。

②本編を随時止めながら、各専門家から補足説明、映画の内容に誤りがあれば指摘。また観客からの質問も受け付ける

③上映終了後、観客の感想をシェア。映画の内容を鵜呑みにしていたり、誤って受け取ってしまっていたら、指摘し、事実を伝える。

④有機JASオーガニックの野菜や食品が並ぶマルシェでお買い物

オールナイト上映の時間配分になりそうです。
自分の中の最適解というか、落としどころはここらへんかなと思う。

よくあるのが、食関係の映画上映後、○○について考えてみましょうのコーナー。
ダメ絶対。
考えるのはダメではないけど、そこで導かれる話はあくまでも素人のお気持ちって事を忘れてはいけないと思う。
特にオーガニックは安全系に傾いた映画の後はなおさら。
もちろん、ネオニコチノイド農薬やグリホサート以外の農薬にも詳しくADIに根拠を持って疑問を持てるお客様どうしなら、建設的な会話になるかもしれないけど…
食の安全って、考えてわかるものではなく、研究して、調べてわかるものだと思う。特に生物や化学の専門家でもない人が100人集まっても、「それって個人の感想ですよね」を抜けられないと思う。
結局
「政府や企業の決めた事は信じられない。自分の感覚を大事に食を選びたいですね」
という元も子もない鶴の一声で閉会とか。
昭和の民が全員ずっこけますわ。


「夢見る給食」はちょっと自分的に無理だけど、アリス ウォーターズさんの映画はどうだろう?
観てはいないけど、関連記事から感じたのは、
同じようにオーガニックも映画の要素ではあるけど、YOU ARE WHAT YOU EATひとは食べたものでできている。素材の味を味わおう。学校菜園を作ったら不良が減った(病気が云々とか発達障害が云々ではなく、取り組みをしたら生徒が育てる事の良さに気づいたという話。それで行けば芋掘り体験を幼稚園からする日本は英才教育?)などなど。
あくまでも一人の女性の行動を追うスタイルで、一般化していない。ような印象。

これもアウトなのか、セーフなのか、ご存知の方教えてください。


そんなわけで、感想レポだけでおなか一杯になったモヤモヤを吐き出してみました。

この映画を地産地消、都市農業への理解を求める目的に上映するのはなぜなのだろう?羽村市の農家はどんな気持ちでこの映画を観るのだろう?

商売をする人として、いかなる環境でもにっこり「イラッシャイマセー」が言えないといけないなぁ。と思いつつ、いやいや、そうはならんでしょ。とか、根拠プリーズ、それって個人の感想ですよね。みたいな状況に取り囲まれると、「それはですね」と言わずにはいられない性分で……
「正しい」の暴走はしたくないけど、納得した気持ちの良い場所で我が家の大切な野菜を売りたいなと思う今日この頃。

ポッドキャストでも熱く語っております。

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