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★【大会・ゲーム戦略】打順の組み方
(このnoteでは、”強い高校野球チームを作る”方法を仮想の高校を見立て様々な角度から具体的にシミュレーションしております。野球に関わる全ての方々にとって、少しでもお役に立てれば幸いです。)
「工藤note高校 野球部」甲子園・日本一までのチーム育成プロセス を考える|工藤
打順の組み方の基本は、
試合に出場する選手の打撃力(特性)を踏まえた上で、
一番多くの得点を取れる可能性が高い順番 を組む
となります。
打順の考え方 基本
単純に考えると「打順」は「打つ順番」なので、打撃力の高い選手から1番・2番・3番…と並べていくと打てる選手が打席に立つ可能性を高くすることができ、得点の可能性が高くなるように感じます。
しかし、打てる可能性が高い選手の前に走者がいれば1点だけでなく2点・3点と一回のヒットで複数点数を取ることができるため、「打てる可能性が高い選手の前にできるだけ走者を置きたい」という考え方が打順を組む際の基本になります。
「出塁する役割の選手」
「チャンスを広げ、次にチャンスをつなぐ選手」
「ヒットを打つ役割の選手」
「長打を打つ役割の選手」
と選手の特徴により大まかに分けて打順を考えると良いです。
打順の組み方 ケーススタディ
打率は低いが、長打力がある選手 ⇒ A選手
打率は低いが、バント・進塁打が上手な選手 ⇒ B選手
出塁率が高く、足が速い選手 ⇒ C選手
打率が高く、ヒット打つのが上手な選手 ⇒ D選手
≪ケース1≫
それぞれの選手が良い打席結果を出した場合、確率が高いのは、
A⇒長打 B⇒進塁打 C⇒単打 D⇒単打 となります。
打順がA→B→C→Dの場合、まずAが先頭でいきなり本塁打を打ったとします。その後Bは走者がいないので特徴を生かせずワンアウト、出塁率の高いCがヒットで出塁、さらにDが3番ヒットを打った とイメージできます。
ここまでの状況では、1点が入りなお1・2塁(もしくは1・3塁)の状況です。
打順がC→B→D→Aの場合、まず足の速いCが(ヒット・四球等で)出塁し、すぐに盗塁を仕掛け成功します。続くBの選手が進塁打を打ちCを3塁に進め、続くDがヒットを打ちCが生還、続くAの長打でDも生還し2点が入ります。Aがホームランを打てば3点になります。
この際、Bの進塁打がうまくいかずCが2塁のままであっても次のDのヒットで生還する可能性が高いです。また、ここでDがヒットを打てなくても次のAの長打でCが生還する可能性が高いです。全員が結果を出さなくても、次の打者でカバーが出来る順番になっています。
≪ケース2≫
それぞれの選手が思わしくない打席結果(Cのみ良い結果)を出した場合、確率が高いのは、
A⇒外野フライ B⇒内野ゴロ C⇒単打 D⇒内野ゴロ となります。
打順がA→B→C→Dの場合、まずAが外野フライでワンアウト。次にBが内野ゴロでツーアウト。Cがヒットを打ってツーアウト1塁になりますが、Dが内野ゴロでスリーアウトチェンジとなります。
打順がC→B→D→Aの場合、まず足の速いCが(ヒット・四球等で)出塁し、すぐに盗塁を仕掛け成功します。続くBの選手が内野ゴロですが進塁打となりCを3塁に進め、続くDも内野ゴロでCがゴロゴー・ギャンブルスタートを切ることで生還することができます。
この際、Bの進塁打がうまくいかずCが2塁のままであっても次のDの内野ゴロで3塁に進めば(ツーアウトになるが)次のAに期待することができます。
また、Dがここでヒットで1・3塁の状況を作ることができれば、次のAの外野フライを犠牲フライとすることができます。
”上位打線”・”クリーンアップ”・”下位打線”
打順は1番から9番まで順番がありますが、大きく分けると”上位打線”・”クリーンナップ”・”下位打線”に分類でき、以下のような考え方になります。
上位打線(1~3番打者)
打線を組む9人の中で打席が回ってくる回数が多くなるため、
より多く出塁すること
(出塁したら)より先に進塁すること
が求められる、得点できるチャンスを作る役割となります。
クリーンアップ(3~5番打者)
クリーンアップは上位打線の次に来る打順のため、上位打線が作ったチャンスを得点にする役割となります。
チャンスに打順が回ってくる確率が一番多い順番になるため、チームの中で最も打撃力が高い3人がこの打順に入ることが多いです。
下位打線(7~9番打者)
打線を組む9人の中で打席が回ってくる回数が少なくなるため、守備は上手だが打撃は苦手な選手が入ることが多いです。
ただし、ここでチャンスを作ることができると上位打線につ投げることができるため、
(ヒットでなくても良いので)何とか出塁すること
(出塁したら)より先に進塁すること
が求められる、得点できるチャンスを上位打線につなぐ役割となります。
試合を想定し打順でシミュレーション
このように、打順を決めるには過去のデータを基に1番から9番までのシミュレーションを行ない最終的には当日の選手の調子を見て決めるようにします。
ただし、いきなり最適な打順を作ることはなかなか難しいので、普段の練習で各選手の打撃の適性を把握した上で、練習試合・紅白戦の機会でさまざまな順番を試し公式戦でベストの順番を組むことができるよう模索します。
1番打者の適性
● 出塁率が高い
● 選球眼が良い(相手投手に球数を投げさせることができる)
● 走力が高い
打線の中で一番最初に打席に立ち、一番多く打席が回ってきます。
ヒットでも四球でもなんでも良いので、とにかく塁に出る(チャンスを作る)ことが重要な打順になります。打力だけでなく、ストライクボールを見極める選球眼も必要になります。
また高校野球の場合初めて対戦する投手であることも多いため、相手投手がどのような特徴(球速・球種・調子・クセ…)があるか? 特に試合の序盤では出来る限り球数を投げさせ情報を得る役割もあります。
1番打者が得た情報をすぐにチーム内に伝達することで、試合の早い段階で必要な対策を打つことができます。
(例) ストレートが良いがカーブのキレが悪いので、カーブを狙う
出塁したら盗塁等でより先の塁に進むことが重要になります。そのためには、足の速いことも重要な要素になります。
2番打者の適性
2番打者は、チームの状況により役割は変わります。
● 投手力が弱いチームの場合 ⇒ 長打力が高い(大量点を狙える)
● 投手力が強いチームの場合 ⇒ 出塁率が高い、細かなプレーができる
(作戦の幅も広がる)
1番打者が出塁したら、そのチャンスを広げられるかどうか?でチームの得点率が大きく変わります。そのチャンスを広げるのが2番打者の役割になります。
その方法は「バント」「ヒットエンドラン」等になりますが、目的はいずれも走者が進塁することなので、例えば盗塁の補助(わざと空振りする)で走者の進塁をサポートすることも立派な2番打者の役割になります。
このような役割が主になるので、さまざまな役割に対応できる器用な打者が2番打者にはいるのが一般的です。プレーに派手さはなくても、堅実にプレイができる選手が向いています。
また、1番打者が出塁できなかったときは2番打者が出塁しチャンスを作る役割もあります。そのため、足が速いと走者として有効になるため2番打者の必要な要素として踏まえておく必要があります。
※ 右打者のほうが向いている
⇒ 走者がいるときに右方向に打つことを求められることが多く、
右打ちなら”流して”打つことができる。
(引っ張って打つよりも、流して打つほうが容易にできる)
3番打者の適性
● 出塁率・打率・長打率がバランスよく高い(万能・器用)
1・2番打者が作ったチャンスを得点にするのが3番打者の役目なので、チームの中でもチップクラスでヒットを打つ確率が高い選手・打撃センスが良い選手にするのが一般的です。
そのヒットの内容も状況によって変わります。
走者が2塁 → ワンヒットで得点できるチャンスなので(無理に長打を狙わず)単打を狙う。もしヒットが出なくても、最低限走者を3塁に進塁させ4番打者につなげる打撃繋げる打撃をする(例 1・2塁間にゴロを打つ)。
走者なし(1・2番打者がアウト) → 単打では得点が入らないので、長打狙いで打席に入る。
4番打者の適性
● チャンスに強い(勝負強い)
● 長打力がある
チームの中で一番長打力がある”打線の主軸”となる打者が4番打者になるのが一般的です。打線を考える際に、まず4番打者を決めてから各打順を組む…という考え方でも良いでしょう。
当然1・2・3番打者の後なのでチャンスで打席が回ってくる可能性が高いです。このような時にも自分の能力を100%出すことができる”チャンスの強さ”が重要になります。チームの中でも一番頼れる打者と言えるような精神力の強さも求められます。
5番打者の適性
● (4番と同様くらい)チャンスに強い(勝負強い)
● 打率が高い
⇒ 4番打者で勝負せざるを得ない威圧感を持っていると良い
3番・4番打者の後に打席が回ってくるため、3・4番でチャンスを得点にできなかった場合に5番打者で得点できるような打撃が5番打者の役割になります。
5番打者はチャンスに打てる勝負強さが求められます。特に4番打者で勝負を避けられ5番打者で勝負…というケースも十分考えられるため、このような時にも自分の能力を100%出すことができる”チャンスの強さ”が重要になります。また、5番打者に威圧感(相手チームへのプレッシャー)があると4番打者で勝負せざるを得ない…という判断になることもあるため、間接的に5番打者としての役割を果たしているとも言えます。
6番打者の適性
● 出塁率・打率・長打率がバランスよく高め
クリーンアップのあとになる打順なので、5番までにチャンスとなった走者を得点につなぐことができなかった場合、走者を返し得点につなげるのが6番打者の役割となります。ただし、クリーンアップの打順よりはチャンスに打席が回ってくるケースが少ないため、3・4・5番打者よりも打力は落ちる選手が入るのが一般的です。(将来の3番打者候補 等)
走者がいないケースは、出塁することが役割となります。投球を見極めボール球に手を出さない選球眼も必要になります。
7番打者の適性
● 出塁率が高い
● 打撃技術が高い
6番打者がどういう打撃をしたかで変わってきます。
6番打者が出塁を目論み狙い通り出塁することができたら、そのチャンスを広げるのが7番打者の役割になります。
その方法は「バント」「ヒットエンドラン」等になりますが、目的はいずれも走者が進塁することなので、例えば盗塁の補助(わざと空振りする)で走者の進塁をサポートすることも立派な役割になります。さまざまな技術をこなす器用さが求められます。
走者がいないケースは、出塁することが役割となります。投球を見極めボール球に手を出さない選球眼も必要になります。
ただし、7番打者には上位打線・クリーンアップよりは打撃の能力が落ちる選手が入ることが一般的です。打席が回る順番があとの方になるためです。
8番打者の適性
● (確率は低くても良いので)長打率が高い
1~9番までの打順で言うと8番打者は後ろの方になり打席が回ってくる回数が少なくなるケースが多いため、試合に出場している9人の中では比較的打撃を苦手とする選手(例えば、守備は上手だが打撃が苦手…という選手は適任)が入るのが一般的になります。
ただし、確率は低くてもバットに当たると長打が出るような選手が8番打者にいると、相手バッテリーにとって決して気を抜くことができない打者になるとも言えます。
9番打者の適性
● 走力が高い
9番打者は一番打席が回ってくる回数が少ない打順ですが、次打者が1番打者になるので出塁できると上位にチャンスをつなぐことができるため大きな役割を果たすことになります。
ヒットでなくて良いので、四球等どんな形でも出塁できることが9番打者の重要な役割になります。
また、出塁したら盗塁等を仕掛け相手にプレッシャーをかける走力があることも重要な要素になります。
出来る限り打順は固定する
打順は選手の適正(特性)を持って決めることが多いが、打順を試合のたびに変えるとその打順に慣れていない選手が「打順の特性に自分が合わせる」ようになってしまい、本来持っている能力を発揮できなくなってしまうことが多くなります。
自分の能力を出す < 打順の特性に自分を合わせる
試合に余計なストレスなく入ることができるように(自分の能力をそのまま出せば、打順の特性にもフィットする)、打順はできる限り固定して組んだ方が良いです。
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