【短編小説】五月病ドライブ (前編)
突然、健吾の携帯電話が鳴った。
まぁ、電話というのは突然鳴るものだが、未だに電話がなると少しビクッとしてしまう。心臓に悪い。
画面を見ると恋人の琴葉からだった。
「あのさ、用がある時はまずLINEしてって言ってるじゃん。そしたら俺から電話かけるからって」
「あー、そうだった、ごめんごめん」
悪びれることなく琴葉は謝った。
「でもさー、もう前の会社からは電話こないでしょ。退職代行使ってちゃんと辞めたんだし。それに番号も変えて、今の番号知ってる人数えるほどしかいないんでし