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「月の光が届く距離」宇佐美まこと著

ここ数日昼間太陽が顔を出す時間が増えてきて、気持ちも落ち着いた気がします。そんな時にこんな作品に出会いました。

1.読んだ本の紹介

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養子縁組、里親制度など小さな命に光を当てる、書き下ろし長編。

2.この本を読んだ理由

帯に

「それは、血のつながりより深い愛」

とあり、昨今過酷な運命をもって生まれた幼い子どもの事件をよく耳にするので手に取りました。

3.あらすじ

女子高生、美優は予期しない妊娠をしてしまう。堕胎するには遅すぎると、福祉の手によって奥多摩にあるゲストハウス「グリーンゲイブルズ」に預けられる。そこには明良と華南子という兄妹が、深刻な事情を抱えた子どもたちの里親となって、高齢の母、類子と共に暮らしていた。貧困、未婚、虐待と難しい背景をもつ里子たちを慈しんで育てる彼らにも、運命に翻弄され、絶望を乗り越えた苦しい過去があった。(作品帯抜粋)

4.感想

この作品は確かにフィクションなので、こんなに簡単に解決するわけないと思いますが、作中の未成年たちの境遇も残酷です。

太平洋戦争後の日本も敗戦という結果によって、子どもたちに多くの苦労を背負わせましたが、平和だと思っている日本において、現代における子どもたちにこれほどの過酷な運命を背負わせなくてはならないとは、私たち大人たちは一体なにを狂わせているのかと、読み終えて一旦は重い気持ちになりました。

しかし一方でその子どもたちと真摯に向き合って共に進もうとしている大人たちも多くおられるのだと、想像させてくれる物語なのだと希望を抱かせてくれました。

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