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イ・ドウ「天気が良ければ訪ねていきます」

読んだ本の紹介

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訳者:清水博之
出版社:アチーブメント出版
発売日:2020/12/28
単行本:424ページ
内容:

冬が来て、うれしい理由はただ一つ。窓を遮っていた木の葉が落ちて向かいにある君の部屋の窓が見える。クリスマスが来て、旧正月が近づき、君が数日、この村に帰ってくる。

本文序

この本を読んだ理由

本作がパク・ミニョン×ソ・ガンジュン共演のドラマの原作で、邦訳もあると知り図書館を検索したら、幸いにも県立図書館にあって相互賃借してもらいました。

あらすじ

ソウルでの生活に疲れ切ったヘウォンは、ひと冬を故郷で過ごそうと、山と湖に囲まれた片田舎のバス停に降り立った。隣の空き家は、いつの間にか小さな本屋になっていた。「グットナイト書店」。店主のウンソプにとってヘウォンは、初恋の人だった。彼女が戻ってきたことで、静かな冬の生活が変わっていく……。
外は冷たい銀世界が広がり、グッドナイト書店の中は温かく穏やかな時間が流れる。
ふたりの間には、雪の結晶のように、ひとつふたつと少しの重たさも感じさせずに、愛情が舞い落ちていく。ゆっくりと溶けていく痛みと孤独。やがて明らかになる過去の秘密。
傷つくことを恐れる人、傷つくことに疲れた人。
それぞれが再び人生を歩み始めるまでの、心温まる愛の物語。

出版社商品説明より

感想

韓国ドラマを観てから惹かれ読んだ原作本でしたが、ドラマ以上に感慨深い作品でした。

ドラマでは、主人公の2人が持つ傷のような過去を背景に、友情や恋愛を軸に描いていましたが、原作は「グッドナイト書店」を中心に本を介しながら人々の想いや生活を描いています。

書店のH Pに登場する架空新刊本の内容には、著者の読書歴が垣間見れて、想像すると楽しいものです。


「よく眠れたら最高だから。よく目が覚めて、よく食べて、よく働いて、休んで、そして眠れたら、それが素敵な人生」
「人生はそれが全部なの?」
「じゃあ他に何がある?みんなそんな基本的なこともできないから大変なんだ」

本文p51

故郷に帰ったへウォンが初めてウンソプの本屋に訪れ、本屋の名前の由来を尋ね、答えたウンソプの回答は、持病で夜ぐっすり眠れない私への言葉にも感じます。

天気が良ければ会おうという言葉は、約束でもなんでもないこと。

本文p394

へウォンが叔母ミョンオに言われた言葉がタイトルになっていますが、約束でもないこの言葉の裏には、またいつかは会いたいという希望も含まれていると、物語を読み進めて理解できます。

人生におけるターニングポイントは、必ずしも美しいものばかりではありません。けれどへウォンやウンソプのように、思いがけない出会いを繰り返し人生の終わりに、どんな形であれ寄り添ってくれる人がきっといることを信じたい、そんな作品でした。

ストーリーが特に面白いというわけじゃない。ただ、いくつか忘れられない場面があるんだ。たまにつらくなるとこの本を読みなおすんだけど、僕にとってはそういう本

本文p55

こう語るウンソプが持つ本が、私にとってこの本になる予感がしています。

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