楽園の烏〜八咫烏新シリーズ始まりました(27-50)
文化の日という祝日、いかがお過ごしでしょうか?
私は昨夜久しぶりにワクワクして、阿部智里氏の八咫烏シリーズの新作を読み終えました。
「この山を売ってはならない理由が分かるまで、売ってはいけない」
資産家である養父の奇妙な遺言とともに、ある「山」の権利を相続した安原はじめ。その途端、彼のもとに「山を売ってほしい」という依頼が次々と舞い込み始める。この山には一体、何が隠されているのか? その答えを知っていると囁く美女に誘われ、山の内部に入ったはじめは、そこで信じられないものを目にする――。
舞台は東京から、八咫烏たちが住む異界「山内」へ。猿との大戦(『弥栄の烏』)より20年の時を経て、いま再び物語が動き始める。
動乱の時代を生き抜いた八咫烏たちの今。そして新たなる世代の台頭。第1部以上のスケールを持っておくる傑作異世界ファンタジー。(Amazon内容紹介)
2020年9月3日に発売された本書は、著者の人気シリーズである、八咫烏シリーズの第二部のスタートということで、期待も大きく多くの方が発売とともに読まれていて多くの感想が上がっています。
まだ未読の方のお楽しみを奪わないように注意しますね。
このシリーズを全て読まれた方ならとても期待が大きいと思います。しかしその期待に応えるにはこの1作で耐えられないと著者の頭にはあるようです。
第一部での終わり方がとても暗かったので、少しは光が刺すのかと私も期待しましたがまだでしたが、さすが松本清張賞を受賞した著者らしく、今後の展開はもう頭にあるようなどんでん返しが次々と起こっています。
先が見たくてページをめくるのももどかしく読み終えた本作ですが、第二部の序章にすぎないようです。また次回を待ちわびてしまいます。
「なあ、楽園に必要なものはなんだと思う?」
うまい飯?きれいな服?それとも酒や女?
「人だよ、頼斗。人にとって、一番の希望は人なんだ」
頼斗は何も言えなかった。
はじめは静かに語り続ける。
「人との関わりこそが、喜びだ。少なくとも俺にとってはそうだった。理屈ではなく、本能で求めていた」(中略)
「人の真価は、困難な時こそ現れるもんだ。困難の中で、それを仕方ないと諦めずに、ちょっとでも楽園に近付けようとする、そういう輝かしいものを俺は見たいんだよ」
田中芳樹氏、栗本薫氏、上橋菜穂子氏、畠中恵氏、小野不由美氏ら(私が好きな作家ばかりですみません)全く世界観は違いますが、作家たちの後を追うように本作の若き阿部智里氏の実力も高く、日本の作家が描くファンタジーの質は高いなと嬉しくなります。
本作の展開に残念だった方も是非次回を期待しましょう。ファンタジーの世界は壮大なものです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
午後からの時間も有意義にお過ごしくださいね。
いつも読んでいただき、ありがとうございます。これからも励みますね。