(231012)無口な人は 夏の日のはかなさを うまく言えずに バスの窓おろす
だいぶ忙しかった。
人生のプチパラダイムシフトが訪れてごちゃごちゃ~っとしてめちゃくちゃニキビとかできてヤクルト1000の定期購入やっぱ再開しようかなって思った。あと、年に2回くらいある、公私ともにやるべきことをちゃんとやってなくて勝手にひとりでメンタルブレイクする時期きてた。ニキビのもと。
2023年9月23日(土)
サンリオピューロランドに行った。
なんというか、どことも似つかない不思議な場所だった。
テーマパークにしては小型だし、小型な割には情報量が物凄くて、みっしりとした焼き菓子みたいな場所だった。
半日遊ぶとすっかりサンリオのことが好きになってしまい、キャラクターグッズを購入したりして過ごす。
サンリオピューロランドの一番良いところは出ると一瞬で普通の街に戻るところで、昼前に食べたポムポムプリンのオムライスではもちろん足りず、帰り道のロイヤルホストでたらふく食べた。
『マイペース』の話になった。今日行動していた一行に英語話者が含まれていたので複雑な話の時は逐一翻訳をしていたのだが、『マイペース』をひと言で言い換えられず議論になった。
英語に『マイペース』に相当する単語がないのではないかという話だ。
そもそも日本語の『マイペース』はまぁまぁに複合的で、良い意味もあれば悪い意味もあるし、動きの話でもあれば思想の話でもある。
社会が言語に反映された例で、発見してみんなでにわかに興奮した。
2023年9月24日(日)
ビアガーデンをはしごした。二次会もはしごした。
うっかりダブルブッキングをしてしまったのだが、時間がずれていたのでまぁいけるかと思い、Aのビアガーデン→Bのビアガーデン→Aの二次会に途中参加→Bの二次会に途中参加と、まるで芸能人のような1日を過ごす。
ビアガーデンの、沢山の人の中に居て少し頭がハイになる感じが懐かしかった。
友達から共通の知り合いが死んでしまった話を聞く。
少しだけそのことでざわついたが、自死の話をする時に、自分の人生の過去現在未来いずれもの延長線上に自死を置いて話す人と、そうではなくて自分の人生の選択肢には据えずに話す人がいるなと思った。
どちらが良いとか悪いとかではないし、そもそも2択でもなくて、自分の人生の中に在っても無いように話す人もいると思う。
僕は圧倒的前者で、今は母親がいるから選択肢にないけど…と言ったら周りの人々がばんまのお母さんがもしいなくなってしまったら私たちがばんまの新しいお母さんになるから…と名乗り出てくれて笑ってしまった。
そういえば、今日は自分のお葬式で流したい音楽のプレイリストの話もした気がする。僕はそんなプレイリストを作っているのだけど、意外とみんなも作っていて笑った。
酔っぱらいながら死のことを考えて、帰り道に少しムム…となった。夜中に明日AM休を取る旨会社にメールして寝る。
2023年9月29日(金)
友達がビリヤニを作ってくれた。
ビリヤニを食べながら映画の『RRR』を観た。
うっかり楽しく過ごしてしまいビリヤニを作ってくれた友達が終電を逃したので新宿二丁目で飲むことにした。
飲みに出るなら機嫌の良い人と一緒が良い。
街中でいろいろな人が話しかけてきて、なんだか主人公のような夜だった。
紆余曲折あり朝まで過ごす必要はなく、三四郎ANNを聞きながら帰った。みんなで飯食って3時まで飲んで三四郎ANNを聞いて帰るのがこの世で最も好きな金曜夜の過ごし方かもしれない。
2023年10月3日(火)
仕事を終えて神保町で牛肉麵を食べた。
腰を抜かすくらい美味かった。
正直、中国や台湾で食べたどの牛肉麺よりも美味かった。
新卒で働いていた会社の先輩達と行ったが、みんなでうまいうまいと夢中で食べた。店中が無言で牛肉麵を食していて、白昼夢のようだった。
先輩達はいずれも台湾人や台湾にルーツがある人で、金銭感覚が合う友達が大事とかそういう話があるが、味覚が合う友達も同じくらい大事だよなと思う。
それからずっとスタバで話していた。
延々と話して、先輩が仕事カバンの中身をハイテンションで紹介し始めたら隣のサラリーマンが舌打ちをしたので帰った。こういう瞬間が一番、生きていると思う。
岡崎京子の『Pink』で、ユミがランチの後にドトールに行くシーンがめちゃめちゃ好き。
2023年10月5日(木)
長い1日だった。
また異動の打診があり部長はどれほど僕を追い出したいのかと憤ったら、本当にそういうわけではなく、会社のルールで他部署から引き抜きの打診があったら基本的に本人に聞かなくてはいけないから、と真摯に謝られた。
僕はたいして仕事もせずいつも社内をふらふらしてたり、なんならたいした用もなく出張をする不良社員だが(だから追い出したいんだろう)、そのおかげで他部署のおじさまやおばさまにえらく顔を覚えられていた。
手薄な年代だし声がかけやすいのかもしれない。
なんだか面白い話だなと思った。
僕はとんと煙草もしなければ飲酒もゴルフもしないけれど、なるほどこういうロビー活動が人生のやりやすさに繋がるなんてと理論ではわかっていながら実践していなかったことを、社内徘徊という奇癖により成し遂げた。
異動はまぁしたいのだが、今回の異動先はちょっと違うのでロビー活動は続ける。
夜に取引先の人を含めた会社の飲み会があった。
仕事の進め方とかやり方の話で少し盛り上がり、ばんまさんは本能型だねと取引先の人に言われた。
何の話かと思ったが、漫画の『キングダム』でキャラクターが本能型と知略型に分かれているという話だそうだ。
理論で物事を進めるのが知略型で、直観で動いているのが本能型だそうだ。
両方兼ね備えていたり、元は知略型で後に本能型になるキャラクターもいる(そんなことある?)らしい。
誰がなんだと散々盛り上がったが、帰り道に、あれ、もしかしてディスられていた?と少し冷静になった。
飲み会の帰り道にひょいと抜けて、今日でオーストラリアに帰ってしまう友達に別れを告げに行った。
23時近くでお店があまり開いていなくて、なか卯でご飯を食べた。
その友達はずっと日本で借りている部屋が驚くほどに小さいと愚痴っていた。聞けば都心に借りているのでまぁそりゃ狭いよ、と思っていたが、今日見に行ったら両親と子ひとりなら満足に住めるような物件だった。そこにひとりで住んでいるのに狭いとは…?と愕然としていたら、ただ、『オーストラリアに来なさい』とだけ言われた。
2023年10月7日(土)
普段行かないエリアに行った。人の家に招かれたのだ。
お金持ちな友達の家に招かれ、おいそれと行ってはいけない。何かひとつはショックを受けて帰ってくるからだ。
今日のショックはクレジットカード会社が送りつけてくる冊子で、どうやらお金持ちの友達も僕と同じ会社のクレジットカードを使っているようで、見覚えのある表紙の冊子が部屋の端に積んであった。
しかし、どう見ても厚い。
表紙は同じはずなのに、うちに送られてきている冊子は薄くてホチキスでも留められるような厚みなのに対し、彼の家の冊子は、冊子というかもう書籍と呼んでよいような厚さだった。
金持ちだけが知れる情報がある!!と差分を確認したかったが、いかんせん元の薄い冊子を読んでいないのでわからなかった。
こういう世の残酷さに触れるたび、いにしえの頃に生まれたかったと思う。
2023年10月9日(月)
出身大学の学園祭に行った。
卒業して10年以上も経つのに学園祭なんて…と思うが、緩やかな同窓会の様になっており、毎年行ける人で緩やかに行くのが慣習になっている。
仲のいい先輩と道中一緒だったが、続きものの漫画やドラマ、アニメを見る体力がなくなっているという話になった。辛いのだ。続きものというか、明らかに『伏線』がしんどくなってしまっている。
もういつ死ぬかもわからないのに、ただ伏線が気になるとかそんな理由だけでエンタメを摂取することができなくなっている。
良く考えれば続きものでも『女の園の星』とか一話完結は読めているので、やっぱりキモは伏線なのだと思う。小説も読めるんだな、最初から終わりが見えているので。
大学生たちを眺めたら、自分の老いに猶更しんどくなった。
2023年10月11日(水)
会社のオフィスグリコが撤退した。
オフィスグリコ側が計算した売上と実際に集金された金額の差異がある程度ある状態が続くとオフィスグリコは撤退するらしい。
これは由々しき事態だ。
僕はオフィスグリコは使わないのだけれど、これだけ荒れ果てた、治安の悪い会社に所属していることが公になってしまった。
よく行く別のフロアだとオフィスグリコは奥まったカフェエリアにあるので普段目に入らないのだが、自分のフロアだと、廊下のどんつきに配置されている。そのどんつきに配置されたオフィスグリコが、トイレに行くたび目に入るのが、実は僕は大嫌いだった。
トイレに行く度に、壁いっぱいにごちゃごちゃと配置された小さなサイズのお菓子、グリコには何の恨みもないけれど僕の目には資本主義の小鬼が壁中に張り付いているような感覚があった。
午後にトイレに行くと廊下のどんつきが光り輝く真っ白な壁に変わっていた。
資本主義の小鬼共が消えた。疲れた労働者を搾取する小鬼め。
何度か真っ白などんつきの壁を眺めながら気持ちよくトイレに行ったが、目ざとく総務部が最高の壁を見つけてしまい、すぐに税務署か何かから貰った啓蒙ポスターを貼ってしまった。悲しい。
たった数時間しか見ることのできなかった白く輝く壁が恋しい。