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映画『ルックバック』
話題の映画、『ルックバック』を観ました!
1時間ほどの短い映画に込められた情熱を、
しっかりと受け止めることができました。
週末の朝に観たのですが、
朝から心が忙しくて、でもしっかりと温まって、
いい一日のスタートとなりました。
概要
『ルックバック』はもともと、『ファイアパンチ』『チェンソーマン』などで知られる藤本タツキが2021年7月にウェブコミック配信サイト・アプリ「ジャンプ+」で発表した長編読み切り漫画が原作です。
2020年の12月に『チェンソーマン』の第1部の連載を終了してまだ間もないタイミングで143ページという大長編の読み切り作品を発表したことにも驚かされましたが、その密な内容とクリエイターに対してエールを送る感動的な内容から、公開からまもなく漫画家に限らず多くのアーティストから絶賛の声があがりました。
その結果、初日だけでも250万以上の閲覧数を記録し、宝島社発行の「このマンガがすごい!2022」のオトコ編1位に選出されたり、「マンガ大賞2022」のノミネート作品に選ばれるなど高い評価を獲得しています。
あらすじ
小学4年生の藤野(声・河合優実)は学年新聞で4コマ漫画を連載していて、自分の画力に自信を持っていた。しかし、ある時から同じ学年新聞に掲載された不登校の同級生・京本(声・吉田美月喜)の絵を見て、あまりの画力に驚愕する。京本に感化された藤野は、一心不乱に絵の練習を続けるようになるのだが、一向に縮まらない画力の差に漫画を描くことを諦めてしまう。そのまま小学校の卒業を迎え、教師の頼みで京本に卒業証書を届けに行ったことで、初めて京本と対面する。京本は藤野の漫画のファンだったことを告げ、藤野にサインを求めてくるのだった。一度は漫画を描くことを諦めた藤野だったが、京本と出会ったことで、京本と共に漫画を描き始めることになる。順調に結果を残していく二人だったが、次第に京本の心境にも変化が生まれていく……。
感想(※ネタバレを含みます)
絵を描くことが大好きな二人の出会いが素敵
冒頭は小学生の二人が、学年新聞でそれぞれ4コマ漫画を描くところから話が始まります。
ストーリーを描くことに長けている藤野、
背景を描くことに関してはピカいちな京本、
藤野は、京本の描く繊細な絵に見せられ、嫉妬し、自分の画力を高めるために必死に描き続けました。
一方京本も、藤野の描くストーリー展開の面白さに惹かれていました。
その二人が小学校の卒業を機に出会い、
お互いの思いを知り、
一緒に漫画を描くこと選択をしました。
その場面が本当に素敵でした。
ルンルンな藤野ちゃんが可愛くて可愛くて♡
小学生ならではの不器用さを持ちつつ、
それでいて絵を描くことに関しては、
誰よりも真剣な二人。
その二人が交わった瞬間、
あたらな扉が開いた音が聞こえたようでした。
二人で描くことで開かれた世界
二人が一緒に漫画を描き始めたことで、
あれよあれよと創作活動が上手くいき、
連載がスタートするまでになったのです。
京本はもともと引きこもりで内向的な性格でした。
京本は外交的な藤野に連れられて様々な挑戦や経験をすることになるのですが、
それで少しずつ、京本の性格に変化が表れていきます。
藤野と京本が街で中学生らしい遊び方をしていたことが、
とても可愛らしくて、愛おしかったです。
この場面では、二人が漫画を描く以外の描写はほとんどありませんでした。
「漫画は描いても描いても終わりがみえない」
という表現があったように、
創作活動の中でも特に漫画を描くことは、
それほどの忍耐力と精神力を必要とすることがわかりました。
そんな二人を突き動かしていたものは、
「絵が好き」「絵が上手くなりたい」という
原動力でした。
小中学生ながらその思いを持ち続けられるのは、
普通なことではありません。
二人はまさに狂人的なマンガへの愛があったからこそ、描き続けられたのだと理解しました。
衝撃的な事件に息をのむ
京本は、藤野との連載を抱えつつ、
自分の絵の技術をもっともっと高めたいと思っていました。
そして京本は藤野の元を離れ、大学に行くことを決意します。
藤野は初めは反対しつつも、京本の決意の前では何も意見することができず、1人で(アシスタントを雇って)連載を続けていく覚悟を決めます。
二人はそれぞれの場所で絵を描き続けていましたが、
京本は大学で、事件に巻き込まれ、理不尽に命を落としてしまうのです。
才能がこんなにも一瞬にして奪われてしまう…
理不尽で無常で許せなくて、
でも、どんなに泣き叫んでも、
京本はもう戻ってこない。
そんな展開が本当に衝撃的でした。
もう一つの世界線でも二人は出会う運命だった
藤野は引きこもりの京本を外に出した責任が、
自分にあると感じ、自分を責めてしまいます。
しかし、この映画では、小学生の時に藤野と京本が出会わなかった場合の、もう一つの世界線が描かれていました。
たとえ小学生の時に出会わなかったとしても、
大学生の時にもう一度出会っていたのかもしれない。
二人は遅かれ早かれ一緒に漫画を描く運命だったのかもしれない。
そう思ったとき、藤野は少し前を向くことができました。
そうして、その後もただひたすらに、連載を描き続けることを決めます。
もう一つの世界線は、ただの藤野の妄想だったのかもしれない。
けれど、これはこの映画を観た人の願いでもあったと思います。
同じ情熱があれば、
どこにいたって何をしていたって、
どこかで必ず繋がる運命にあるのだと、
思い知らされました。
そうであってほしい、と心から思ったのです。
最後に
この映画は、現代を生きる全ての人の心に刺さる映画だと思います。
そして、これからの人生を生きるための原動力を与えてくれる、情熱的な映画でもあります。
興味のある方は、ぜひご覧ください!
読んでくださり、ありがとうございました𓅓