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大車輪 vol.1 ~ポップの祭典~

そういえば10年が経っていたことを、ふと思い出した。

僕は10年前に「大車輪」というライブイベントを始めていて、その第1回目が2008年3月28日だったのだ。

個人でライブハウスを借りてイベントをやるとか、音楽好きな人でもほとんどいないだろう。今回はそんな奇異を始めた当時のことを書いてみたい。

イベントの1回目に出演していただいたのは、相対性理論、のあのわ、ARTLESS NOTE、オードリーシューズ、haltの5組。


これは当時のフライヤーだ。ライブハウス各所に折り込んでもらったり、他のイベントを観に行ったときにお客さんに配ったりしていた。

そしてチケットは1500円。破格だ。

僕の音楽の価値基準に「ポップであること」は、今も昔も大きく占めている。来てくれた方たちに、いろいろなポップを感じてもらいたくて【ポップの祭典】という副題をつけた。

あらゆることが初挑戦だったものの、周りの人たちにも助けられて大成功に終わった。
勢いのあるバンドばかりに出演OKをもらったおかげでチケットは売り切れ、当日は150人以上の方たちにご来場いただいた。

ちなみにvol.1を皮切りに、大車輪を冠して10回、バンド時代の主催や共催を含めると2014年までで15回ほどやった。
お客さんをあまり集められずに精算で苦しい思いをした日もあったが、どの回も準備期間や当日の時間そのものは楽しかった記憶しかない。

ここ4年はバンドもイベントもやっていないけど、音楽に対する探究心は日々進化しているので、懐古のようなこともゆるしてほしい。

◎イベント開催したい欲

自分でイベントやりたいという意欲・・これがないと始まらない。

好きなバンドがいて、好きなライブハウスがあって、作り上げたい雰囲気があって、それに傾けるだけの情熱があって・・という条件が揃うタイミングは、今になって振り返ると奇跡に等しい。

2006年頃からの数年間はARTLESS NOTEととても仲が良くて、特にギターボーカルの関根とは頻繁に連絡を取り合っていた。

アートレスはギターボーカルにドラムの2人編成で結成。間もなく3人編成になったと思ったら、もう一人はシンセやドラムやその他をこなすというわけの分からないバンドである。

ステージ上では3人の魂のぶつかり合い。

「オレが一番凄い音を出す」と言わんばかりに、それぞれの必殺技、秘儀、得意技、ミスを隠すためのアドリブ、それに反応した他のメンバーの裏技など延々飛び出し続けるのが最高だ。
ライブでは毎回のようにアレンジを加え、ただでさえ複雑な曲が、音源通りに演奏されることはまずない。あと、変拍子をポップ成分に昇華させたら彼らの右に出る者はいない。

彼らの話になるとつい褒めすぎる。

ある日、その関根が「相対性理論とかいう、すげえバンドがいる!」と教えてくれた。僕はすぐさま検索して、Myspaceで『LOVEずっきゅん』を聴いた。

衝撃。衝撃に撃ち抜かれた。
当たり前だろう、あの相対性理論だ。

当時はデモCDが出たか出ないかぐらい。そこからの快進撃は広く知られているが、当時はまだ小さいライブハウスでやっていた。僕は都合のつく限り観に行った。

時は同じくして、新宿NINE SPICESというライブハウスがオープン。当時ではほとんどなかった「フロア禁煙」のライブハウスだ。
ARTLESS NOTEも出演していて、お酒も美味しいし、タバコ臭くならないし、良いライブハウスだなと思っていた。

関根とは「アートレスと相対性理論で対バンできたらヤバいね」という話をしょっちゅうしていて、そこから「ケーイチがやればいい」みたいな流れになっていった。

そんなに話が飛躍するか?という点だが、ニューオープンのナインスパイスは、出演バンドやイベント開催する人を激しく求めていることを知っていたのだ。

そういう風にして、ナインスパイスでイベントやりたい・・ARTLESS NOTEと相対性理論を呼んで・・いう気持ちが日に日に高まっていく。

2007年の暮れ。その日は遂に訪れる。

ARTLESS NOTEが出演する日に、ライブハウスの店長であった西田さんを紹介してもらったのだ。西田さんは、自分の好きに対する気持ちに嘘をつけない、とても信用できる人だ。
(西田さんは数年後にライブハウスの中の人からは身を引いたが、今も【東京スーパースターズ】というバンドなどでギターを弾いている)

イベントを開催する日取りはその場で決まった。
全部で5バンド呼ぶことになり、まずARTLESS NOTEを現場でオファーして即刻快諾してもらった。
自分のイベントにアートレスが出る。もう嬉しい。

西田さんは準備の仕方を丁寧に教えてくれて、僕は大いに張り切って臨むこととなった。

帰ってからは、バンドをオファーする文面と格闘。
関根には「こんな感じでいいのかな?」とそのメールを見てもらったり、
アートレスも自主企画を同時期に打つので、ブッキングの進行具合を互いに報告するなどで刺激し合ったし、超お世話になった。
「良いイベントをやる!」という志を共有していたこともあり、励まし合いながら準備を進めていけた。

憧れの相対性理論は、一番最初にオファーしていたけど・・年が明けても芳しい返事はもらえていなかった。

続く

ARTLESS NOTEの僕な好きな曲はこちら(soundcloudにリンク)

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