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二番目の女と私の終わりなき戦い

夫には二番目の女がいる。

夫曰く、
彼女は重たい女らしい。

二番目の女は図太い。
妻である私の前で、
夫と結婚すると豪語するくらいに。

二番目の女は若い。
私にはない、若さを持っている。

艶やかなサラサラの黒髪
きゅっと締まった小さな顔に
澄んだ瞳とツヤのある口唇。

シミやシワとは無縁であろう
きめ細やかな肌。

衣服からスラッと伸びた手足は、
アラフォーの私には眩しすぎる。

夫と彼女は出会って5年、
夫にとって「重たい彼女」になってからは
2年ほどが経つらしい。

夫はというと、
二番目の女に言い寄られ、
明らかに目尻が下がっている。

二番目の女から結婚したいと言われ、
口元が緩んでいる。

度胸と愛嬌と若さを持つ二番目の女に
唯一、私が勝てるものがあるとしたら

大学時代から夫と紡いできた思い出と


二番目の女を産んだ証である、母子手帳だ。

((私が居なきゃアンタは居ないんだぞ!))

そう、
二番目の女とは
わが家の二番目の女
5歳の次女である。

二番目の女はズルい。
かつて一世を風靡した「ズルい女」。
妖艶な声でシャ乱Qが歌い上げた、あの歌を
リプレイしながらこの先を読んでほしい。

彼女の通う保育園で保護者会があると知った。
先生を交え、保護者同士で家庭での子どもの様子を話し合う、アレだ。

家での暴君ぶりを先生方に報告しようかと
夫とヒソヒソ話していたところ、

「保育園の先生にお家での様子を言うなら、
 次女ちゃんもう保育園行かないからね😡」

と脅された。

まじか。
その発言が暴君なのだよ。

家での自分の態度は改めないというのか。
ズルい、ズルすぎる…!

さて、保育園の保護者会当日。

次女の教室へ入ると、
キラキラ輝く満面の笑みを浮かべ
「ママ~!」と走り寄ってきた。

私の胸キュンメーターが急上昇した。
夫もこうして二番目の女にハートを射貫かれているのだろうと察した。

どこまでもズルい女だ。

私の脚にしがみつく次女を抱きしめ、
「5歳になっても、愛しいなぁ」なんて思った
次の瞬間、

彼女は強烈な一言を放った。

「パパが良かった!」

…。

二番目の女にとって、
私自身が二番目であることを
思い知らされた出来事であった。

二番目の女は、
ズルい。
そして、
どこまでも手ごわい。