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【イベントレポート】design surf seminar 2019

.Too が主催しているイベント『design surf seminar 2019』へ参加してきました。ブランディングやアート思考やUXなど、デザインにまつわる様々なセミナーが開催されていました。
とても面白く興味深かったので、聴講したセミナーのレポートをまとめています。(多分に個人的な解釈が入っています、あと長いです。)

マツダ株式会社 常務執行役員 デザイン・ブランドスタイル担当 前田 育男氏「マツダデザインの挑戦」

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マツダデザインの挑戦
Car as Art というテーマで車つくっている。そうするとよく車はアートになり得るか?という質問をされる。あくまで車は道具であり、環境問題など課題も多く、アートとは言えない環境。だからこそ車をアートにと挑戦している。その背景には、カーメーカーとしての危機感がある。

危機感 1
様式、日本の風景、環境について
日本のバイパス沿いに店舗が立ち並ぶ写真を見せながら、いろんなスタイル、色が混ざり合う。様式レスの日本と言える。ここまで様式が混ざっているとどんな車でも環境に違和感が無く存在できる。かーデザイナーとしては美しいデザインをつくろうというモチベーションが削がれる。

日本を代表するカーデザインの様式は、ガンダム系とゆるキャラ系(販売台数が多い車の写真を見せながら)。

様式の国 欧州
統一感があって、景観に対して非常に厳しい。また乗り物が様式の一部としても機能しているのが日本との大きい差。カーデザイナーとして、とてもモチベーションが上がる。乗り物が環境に色、艶を添えている。

日本は世界に類を見ない車大国なのに、ご当地ナンバーみたいな美しくないものを平気で社会に出す、、、
Gマークが形のないものが大賞とった。シンプルに造形のみので評価されるデザイン賞があってもいいのでは。


危機感2
自動車120年の歴史の分岐点
CASEと言われる技術革新

CASE:Connected(コネクテッド)、Autonomous(自動運転)、Shared & Services(カーシェアリングとサービス/シェアリングのみを指す場合もある)、Electric(電気自動車)の頭文字をとった造語。

自動運転の技術が現実味を帯びてきて、様々なメーカーから自動運転車のコンセプトデザインが発表されている。このコンセプトデザインで失ったのは、「運転する道具」としてのパッケージング。運転手をどこに座らせて視界をどのように確保して、、、という制約があるからこそ車のデザインが研ぎ澄まされていって、美しさの基準になったのでは。
自動運転によってそうしたこれまで培ってきた美の基準が損なわれると危惧している。

様式レスの日本で、美の基準が損なわれたらどうなってしまうのか、、、。

ブランドデザイン

2009年にブランド自体が無くなるかもという危機感の元、ブランドデザインを進めていった。ブランドの哲学をタカチにした商品、ブランドの「様式」として昇華させる。

キーポイント
御神体:マツダは宗教ではないけど哲学を具現化したデザインの素。一年近くかけてつくりあげた。
マツダのクルマ創り哲学「人馬一体」そのためにクルマに命を与える。それがマツダデザイン。車を家族として迎え入れて欲しい、なので命を与え生き物に。鼓動デザインというテーマに行き着いた。

プロセス
野生の動物を模写し、抽象化した造形を立体にする。その繰り返しでつくったのが御神体のデザイン。モデルは金属の削り出しでつくった。

美しいフォルムの原理研究
さらに動物の動きを研究し、ブレない軸、動きの連続性、背骨の重要性、、、などの知見を得た。それを車のデザインにも応用していった。

それらを最初に体現したのがアテンザ。そのプロセスによって構築したのが独自のデザインプロセスで、動きを抽象化して、そのかたちをもとにして徐々に車にしていくような感じ。
このプロセスを用いて短期間で出来たのがCXというシリーズ。

アート活動主体のプロセス
商業デザインから芸術活動へ

手創り
ハンドメイド、手間をかけるのは大事。他の企業は効率化をよく求めるが、その逆をやっている。
例としてクレイモデル。マツダのクレイは約55度で柔らかくなるロウのようなクレイ使っている。常温で硬質なものがいい、というモデラーの要望。手間はかかるけど目指すイメージを具現化するために大事な手間だと思う。

手創りvsデジタル
ロードスターの例を挙げながら、ゼロからデジタルでは創れない複雑な面構成について説明。面質と呼んでいる。一瞥するとシンプルな手創りのロードスターは、面構成を見るととても繊細に面が構成されている。
手間をかける=味わいに。

様式を創るための3つのコンセプト
1_束ねる
ブランドスタイルの構築、企業の哲学を表現していく。
ブランドのコアは車。車のデザインを個性的なものにし束ねて群で見せる。これを様式つくりの第一歩に。「束ねる」

2_箱
商品を包むパッケージのようなもの。車にパッケージは無いので販売店を指している。
まず、都内数店舗選択して、店舗デザインを行なった。

3_フォント
資生堂のデザインチームと協働した時に、フォントはブランドの鏡、と教えられた。その時はマツダ内に8種類のフォントを持っていた。
スライドみるとどうもTRAJANを参考にしてる、、、?
MAZDA TYPEとして完成する。

次のステップ
CAR as ARTが次のステップ。妥協をしないためにもこのテーマを掲げている。今注目しているのは、光の美しいクルマ。

なぜ光なのか?
自然体、生命感、日本の美意識
RX-VISION というのがこのテーマでつくったコンセプトデザイン。
面の構成を工夫して、視線を変えるとゼブラ柄?が動きながら変わって見える。

国を代表するデザイン様式を作ることが大事では。
日本の様式の大事だと考えるキーワード
・余白
・反り
・移ろい
(一番見せたい、外部の環境を映すリフレクション)

グローバルに展開するデザイン
コンセプトカー・オブ・ザ・イヤー
美しさのみのクライテリアを持つグローバルな賞。世界で最も美しい車の賞を欧州以外のカーメーカーで初受賞。

Villa d'Esteという賞
これも美しさが評価軸のイタリアの賞。

こうした賞へ応募しながら美しさを追求している。

最後に
120年も経ったんだからもう変わらなきゃという日本は、モビリティ化。
欧州は、120年も培ってきたんだから大事にしなきゃ。がクルマ文化。この違いは大きい。

日本の伝統、美意識を大事にしたい。技術やイノベーションだけではだめなのでは。

美しさには力がある。という言葉で最後終わりたい。

美の複合体験施設「S/PARK」の環境とUXデザイン

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資生堂のクリエイティブ本部の二人がトーク。資生堂は2020年に150周年を迎える。ここ数年イノベーションに力を入れている。その中で今回のS/PARKが誕生した。

S/PARKについて
ロゴや書体はデンマークのコントラプンクト。その他ネンドや、小山薫堂さんなど。

うーん、同じ「美」という抽象的な概念をテーマにしたトークだけどマツダと比べると向き合い方が全然違う。資生堂に持ってたイメージとは離れるなぁ、、、こんな表層的なアイデアに傾倒してるとこなんだっけ??
コントラプンクトの書体はすごく綺麗。

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BEYOND TYPE
次はミュージアムにあるBEYOND TYPEという作品の話。
資生堂には120名くらいインハウスデザイナーがいる。そこ出身の方。自分たちの肌に関するエイジングサイエンス研究成果をみせる。デジタルタイムトラベルというコンセプト。

二人組で体験する。例えば親子であれば親と子の年齢を入れ替えてたら互いにどう感じるか。2つの部屋に分かれて入って、それぞれ相手の(年齢が変わった)顔だけをみる。自分の顔は見えない。なので相手から言葉でどんな顔かを説明してもらう。そこコミュニケーションが重要では。面白い。

UXについて。ほぼ実寸のプロトタイプで繰り返しユーザー調査した。最初は自分の顔も見られるような位置だったが、自分の顔が見えると自分の顔ばかり見てコミュニケーションを全く取らなくなったので、そのプロトタイプの結果からレイアウトを変えていった。
その他テストを繰り返して、入ってから終わるまでおおよそ15分以内に済むように設計した。

データをどのように感情的なものにするのか。イノベーションを牽引するのは感情では。

デザイナーは絶滅危惧種か? GKデザイン 田中一雄氏

サブタイトルは拡がるデザインの明日
不確実性の高い世の中で、今後どうなるんだろう、デザイナーの役割などについて。

いづみやは。.Tooの前身。今年100周年。
GKは1952年に小池研究室にて創立。栄久庵さんはアメリカに留学行って、その後R定規や楕円定規などを持ち帰り、いづみやさんと一緒に画材をつくっていった。関係が深く長い。戦前までは池袋がカルチャーの中心地だった。いづみやは池袋の駅前にあった。

ゴーギャンの絵画のタイトルをもとに、デザインについて考えている。デザインはどこへ行くのか。
AIによってデザインの仕事が無くなっていくのではないか。
野村総研のリサーチによると労働人口の50%程度がAIに取って代わられるとのこと。

デザイン経営宣言
デザインに対する多様な認識。人によって認識が異なる、ギャップが大きい。ビックD、スモールdとして分けることも多い。
デザインにおける対象、プロセス、テーマが拡大していっている。

デザインという言葉を巡る分断を無くそうというのは素晴らしいと思いました。

ジャパンデザインミュージアムへの期待 D-8の活動の視点から

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デザイン8団体の活動の紹介とジャパンデザインミュージアムについて

デザインの領域が拡大する中、実態として日本のデザインをアーカイブしていく重要性を示す。写真でしか見たことのない、というだけではデザインの本質的な方を後世に残せないのでは、という危機感。

報告会的な内容ををこうした場でするのがいいのかどうか、、、具体的に支援する方法とか、アクションにつながることを伝えてもらえると嬉しかった。

その他展示等

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Picoという小さなカラーピッカーディバイス。価格も安価で、ある程度色が数値ではかれるのは面白い。学習するのにとてもいいかも。

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AXISのブースもありました。創刊200号記念の日本語抜き刷り版も配布してました。

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個人的には.Tooと言えばCOPICなイメージですが、久しぶりに触った気がします。
最近は環境がデジタルに移行しているのでなかなか扱い機会は無いですね。実際にも国内の売り上げはそれほど多くない一方、海外ではドイツが最も売れ行きがいいとのこと。カーメーカーが多いからでしょうか。興味深い。

金曜日の午後から夜までの長いイベントでしたが興味深いセミナーも多く、とても勉強になりました。
特にマツダデザインのブランディングの話は初めて知る事もおおく、初めてマツダの車を買いたいなと思うくらいには共感しました笑
毎年行っているそうなので、機会が許せばまた行きたい。ということで.Tooさん、ありがとうございました。

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