書評:文系AI人材になる(野口竜司著)

地元の図書館でも、30人以上の予約待ちになるくらい人気の本書。「文系 AI ○○」という言葉が、私のタイムラインでも頻繁に出てくるようになったのは、この本がきっかけであろう、と思い、出版から約半年が経ちますが、本書を手にとって読んでみました

文系でAIに興味を持った人が一番最初に手に取る書籍としては一番かもしれない

まず、全体のサマリーとしては、AIという業界のなかで、文系がどうバリューを出して働けるのか、フレームワークと事例を通じて紹介してくれています。人工知能を大学院で学んでいる身としては、これを先に読んでから、勉強したほうが吸収が早かったんじゃないか、、、と後悔するほど分かりやすいです。

AIに職は奪われるのか?

第一章では、「AI社会で職を失わないために」として、AI人材として働くための基本的な社会背景を説明してくれています。一言で言うならば、AIが社会の仕事を全て(全てではなくてもほとんど)を代替する、SFのような世界は来ない、と言っています。これは、他でも言われていることでもあるので、驚きはないですが、「AIとの共働き」として5つに分類し、納得度の高い説明をしてくれています

とはいえ、文系AI人材に仕事はあるのか?

第二章では、「文系のためのAIキャリア」として、文系人材のAIに対するマインドセットについて、語られています。「作らなくて良い、使えばいい」として作る以外の領域は文系AI人材の仕事である、として規定しています。AI人材として仕事はあるんだ、と勇気づけられる章です。

AIの基礎が約50ページで分かる!

第三章では、「AIのキホンは丸暗記で済ます」として、AI/機械学習/ディープラーニングの違い、学習方式、活用タイプ、基礎用語が約50ページに凝縮されています。この章が本書が良書である、と言える大きなポイントです。大学院で基礎から学び始めているのですが、この章に何時間も勉強した時間が凝縮されてる。逆を言えば、これを先に見ておけば、と後悔するレベルでまとまっています。これだけ読んでおけば、人工知能、機械学習、ディープラーニングの概要を分かっている、と言っても怪しまれないのでは、というレベルです。

じゃあどう作るんだっけ?作れなくても知っておこう

第四章では、「AIの作り方をザックリ理解する」として、AIをどう作っているのか、をざっくり理解できる章です。この章もこの本を良書にしていて、ここもたった50ページでAIってこういうことなのか、ということが理解できる。ここから作れるようになるには、はるかに大変なことは言うまでもないのですが、文系AI人材は、どう作られているか理解するだけでいいので、この50ページで十分です。ここまで理解すれば、パッと聞きではAI作れる人なのでは、と勘違いさせることも可能になりそう

本題、文系AI人材に必要なフレームワーク

二章で述べられていた文系AI人材の仕事をまっとうするために必要な能力、それをサポートするフレームワークを紹介してくれています。フレーム自体は新しい話ではないのですが、それが逆に、こんなことだけ考えればいいのか、と思わせてくれる内容になっている。

そのフレームワーク、本当に使えるの?

第五章はこの第六章への前段とも言えるかもしれない。ここから怒涛の45事例の紹介と、それを第五章で話していたフレームで紹介してくれる。デコンストラクション的にフレームで理解が出来る、ということは、このフレームワークで企画を考えられることにも等しいので、この最後の二章はかなり有用だと思った。

文系のみならず、AI初心者に見て欲しい

ここまで何度か良書だ!と言っているので、最後も褒めることは規定演技に感じられてしまうかもしれませんが、この本は文系のみならず、AIに興味を持った全ての人に読んで欲しい内容だと思いました。ぶっちゃけ企画職なら、この内容だけでもAI人材として企画が出来るんじゃないかと思うレベルです。是非、お手に取って読んでください!

最後に勝手ながら、著者の「のぐりゅうさん」を紹介します。


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