体育館の中心で○○○と叫ぶ【クスッとする話】
みなさんはフットサルは好きですか?
私が社会人1年目の頃のこと。
会社の新人教育を担当する、
森本レオのような喋り方のS先輩から、
同期全員にお誘いがありました。
「今度、
フットサル同好会の練習があるんだけど、
みんなくる?」
私はサッカーはどちらかという下手くそ。
中学から高校まで6年間サッカー部でしたが、
レギュラーになったことはありません。
でも、
同期7人全員が行くというので、
私も参加することにしました。
迎えた当日。
同期は駅に集合してから、
向かうことにしてました。
しかし、
1人が遅刻してしまい、
みんなで待つことに。
結果、
同期全員遅刻して向かうことになりました。
会場に着くなり、
S先輩ではない、
体育会系の先輩から、
「てめえら、
新人の癖になめてんのか?
あ?」
とお叱りを受けることに。
もちろん、
私たちのせいではありますが、
この方は社内で、
問題行動が目立つ人として有名でした。
S先輩も、
この先輩に対して呆れた表情をしながら、
その場を丸くおさめ、
フットサル同好会がはじまりました。
先ほど怒られたこともあり、
本気でやる人ばかりかと思いましたが、
終始ゆるい雰囲気で楽しかったです。
「おっ!
ばーこしくん、うまいじゃん!」
S先輩に褒めていただけました。
まさか万年ベンチの私が、
褒められるとは思ってなかったので、
とても嬉しかったのを覚えています。
フットサルが終わった後は、
みんなで社長の家に行って、
楽しいひとときを過ごしました。
しかし、
同期全員の心の中に、
フットサル同好会への恐怖心が刻まれたことは、
言うまでもありません。
「今度、
保険組合が開催する、
フットサル大会があるんだけど来る?」
S先輩が数ヶ月後に、
新人教育中にお誘いをしてくれましたが、
私の他に、
同期の中で当日来たのは、
MAくんだけ。
そりゃそうなりますよね。
しかも、
例の怒鳴ってた社員はいませんでした。
参加人数を減らすだけとなった怒鳴り行動に、
S先輩も、
「ほんと、困るよね。はは。」
と乾いた笑い。
フットサルは、
5人の出場選手が必要なのですが、
時間通り集まったのは5人でした。
これだと交代選手がいません。
———あと何人きます?
私が質問すると、
S先輩が口を開きます。
S先輩「これで全員だよ。」
その場にいた全員が、
驚いた顔をします。
すると、
趣味でアイスホッケーをしているISHI先輩が、
口を開きました。
「え?ほんとに〜?
私、この前肉離れ治ったばっかりだから、
あんまり動けないよ?w」
まさかの衝撃のカミングアウトで、
みんな空を見上げました。
本人曰く、
ほぼ応援をするつもりで、
来てくれたそうなのですが、
まさかの人数だったそうです。
とりあえず、
会場に向かいました。
試合は前半と後半それぞれ7分30秒で行い、
合計で15分の試合時間になります。
ハーフタイムはありません。
総当たりで3試合行い、
優勝したチームは2週間後の、
決勝トーナメントにいけます。
着いて早々、
私たちは第一試合で、
アップなしではじめることになりました。
試合開始。
相手チームの、
猛攻を受けつつも、
なんとか耐え凌ぎます。
しかし、
ISHI先輩は、
本来のコンディションではありません。
他の先輩方も、
体力の限界に近づき始めています。
それもそのはず。
先輩たちは10年以上、
デスクワークで仕事をしているのです。
この中で動けるのは、
若手の私しかいませんでした。
試合中は、
全ポジションのカバーをすることになります。
前半終了。
スコアは0-0です。
しかし、
こちらのシュート数は0。
相手のシュート数は軽く10を超えてます。
この雰囲気はまずいと、
誰もがわかってました。
予想は的中。
後半は完全にペースが落ちて、
ボコボコにされ続け、
0-2で負けました。
試合の笛が鳴ったら、
全員その場に倒れ込みます。
第一試合で、
すでに満身創痍です。
応援のために、
先輩社員がきましたが、
フットサルグッズなどは持っておらず、
交代選手はいません。
S先輩「ハァハァ。
とりあえず、
第2試合まで休憩しよう。」
みんなが休憩しようとした時。
「Sさーん!次こっちですよー!」
大会主催者の方が、
呼んでます。
地獄の2試合連続が発覚します。
運悪く、
私たちは第1と第2試合の間に、
休憩がないチームとなってたのです。
第2試合が開始しました。
全員の足が完全に止まっていて、
もうやられっぱなしです。
このままではまずい!
流れを変えよう。
私は、
思いっきりダッシュをして、
キーパーMAくんからの手投げパスを受け取り、
ダイレクトシュートしました。
もう少しで決まりそうでしたが、
キーパーに止められてしまいました。
しかし、
このシュートがきっかけで、
チームが息を吹き返しました。
その時。
ドムンッ!
左足のふくらはぎに嫌な感覚が襲ってきました。
嫌な感覚ではあるものの、
まだ足は動きます。
目の前の相手選手にパスがきたので、
ディフェンスをした時。
ドドムンッ!
今度は、
右足のふくらはぎに嫌な感覚が襲ってきました。
これはまずいかもしれない。
その瞬間、
私に向かって相手が攻めてきました。
なんとか足を出してディフェンスした時!
アーーーーーーーーーッ!!
両足がつりました。
体育館中に響き渡る私の声。
全選手が私に注目しています。
激しい痛みが両足を遅います。
イ
タ
タ
タ
タ
タ
タ
タ
タ
タ
タ
タ
┃
┃
ッ
!!
北斗の拳のケンシロウもびっくりの、
タの発音の速さです。
両足がつるのは人生初でした。
つったからこそ分かるのですが、
両方の足がつると、
痛さのあまり起き上がることができません。
タ
タ
タ
タ
タ
タ
タ
タ
タ
タ
助
け
て
┃
┃
ッ
!!
思わず、
助けを呼びました。
私はセンターラインの上で倒れてました。
完全に体育館の中心で助けてを叫んでいます。
自チーム含め、
他チームの人が全員笑いはじめます。
同じチームの人に、
すじを伸ばしてもらい、
ベンチに座ることができました。
応援にきていた先輩が、
コンビニまでアミノバイタルを、
買いに行ってくれました。
本当に申し訳なかったです。
当然、
ここからは、
4人での試合がはじまります。
なんなら、
1人は肉離れ明けなので、
3人と言っても過言ではありません。
相手は、
圧倒的な人数差により、
猛攻をしかけてきます。
しかし、
ここでMAくんが本気を発揮します。
すげえーッ!!
あいつまた止めたぞーッ!!
相手のシュートを、
すべて止めるのです。
試合を待ってる他チームまで虜にします。
もう完全に、
キャプテン翼の若林くんのオーラをまとってます。
しかし、
彼のスーパーセーブおよばず、
この試合も0-3で負けました。
ただ、
彼がいなかったら、
2桁の点数で負けていたと思われます。
その後、
残りの1試合も負けて、
全敗となりました。
全試合が終わって、
着替えていると、
S先輩がポツリ。
「いや〜、
やっぱり人数少ないね。」
全員が同じツッコミをしようとしましたが、
全員疲れていてスルーしました。
帰り際に、
体育館の入り口で、
別チームの選手に会いました。
「大丈夫ですか?
塩分取るといいですよ!」
優しさに感謝しつつ、
やっぱり全員に聞かれていたのだと、
改めて認識すると恥ずかしくなりました。
いかがでしたでしょうか。
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