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仕事明け、眠くて死にそうな日の話

ライターという仕事柄、案件が立て込むと徹夜になることがある。
スケジュール管理があまり上手にできないので、忙しい時期は〆切りが玉突き事故を起こして、たまにえらいことになってしまうのだ。

当然、そんな日は眠い。
まだ日が高いうちに仕事が終わったはいいものの、眠くて思考回路が停止している。

昼の日差しが燦々と差し込んでいようが、換気のために開けた窓から震え上がるような風が吹き込もうが、眠いものは眠い。

三大欲求だ、仕方がない。人類がいかに知能を高めようと、サルに分類される以上、本能には抗えない。

とはいえ、眠気に任せてベッドに突撃して寝るわけにはいかない。
真っ昼間にがっつり寝てしまうと、昼夜逆転が始まってしまう。

私はかつて超多忙な時期に、夜2時間、昼2時間の2サイクル睡眠で眠気を処理していたが、最終的に自律神経をやられた。
夜は寝ろ。
30分前にはトイレ、洗面、歯磨きを終え、ストレッチをし、スマホを伏せて、7時間は寝ろ。

なので、眠気に抗い、お気に入りのコーヒー豆を挽く。

そして熱くて濃いやつを一杯だけ、カップ一杯分しか入らない小さいタンブラーに入れれば準備OKだ。

スマホと財布、コーヒーを持って散歩に出る。

ヘッドホンでアップテンポの曲を聞きながら、少し早足で歩く。軽く息が弾むぐらいで、ぐいぐい歩く。

15分くらい歩いたら、コーヒーを飲む。街角で構わない。威風堂々たる姿勢でコーヒーを飲んで、五臓六腑に染み込ませる。

誰もこっちになど気を払わない。街の風景の一部になって、眠気で120%まで満たされた頭の中身が、雑踏の音に一体化していくような感覚を味わう。

ありとあらゆる五感の情報が渾然一体となって、自分と世界の境目が曖昧になる、なんともいえない浮遊感がある。

これは徹夜明けの眠い頭でないと味わえない、一種のトランス状態のようなやつなのだろう。

徹夜した翌日に、仕事に向かう人々を横目に過ごす時間の贅沢さは、何物にも代え難い。

その日の仕事?
徹夜明けの頭で作ったものが、納品できるわけがないんだなあ…ばぶを。

そしてまた締め切り前に、夜を徹するのだ。

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