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リトルトゥースの同志

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偶然見つけた、あるアイドルのnoteが好きでよく読んでいた。
文章がとても好みで、少し前から彼女の事が気になっていた。
それから数日後、彼女のインスタをフォローした。
ストーリーが更新されていたので見てみたのだが、僕は目を疑った。

なんとそこには、僕の名前が書かれていたのだ。
一度も会った事がないのに、一体なぜ僕の名前を…?



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去年の秋頃。
僕のnoteのおすすめ欄に「來世」というアカウント名のnoteが表示された。
それが彼女との運命の出会いの始まりだった。
なにげなくそのnoteを読んでみたら、内容が純粋におもしろかった。
文章の組み立て方も上手で「文才のある人だな~」と率直にそう思った。
彼女の事を調べてみると、夏澄來世(かすみ・らいぜ)という名前で、SAZANAMi Λug.(サザナミオーガスト)というグループに所属しているアイドルだった。

それから数日後、僕のnoteのおすすめ欄に「來世」という文字がまた表示された。
前に読んだnoteがおもしろくて印象に残っていたので、彼女のnoteを再び読んでみた。
前回同様、彼女の文章はおもしろかった。
膨大な数のnoteユーザーがいる中で、こんなに短期間で僕のおすすめ欄に2度も彼女が登場したのは、何かの縁があるのかもしれないと思った。
そして純粋に彼女の文章が好きだったので、そのnoteをフォローした。

それから彼女のnoteを一番最初の投稿から毎日少しずつ読み始めた。
今のグループに入ったいきさつや、どんな思いでアイドル活動しているのかや、日常生活での出来事などがいろいろ書かれていた。
彼女の事を何も知らなかった僕が読んでも、そのnoteは一つの読み物としておもしろかった。
彼女は「noteの文章」だけで、僕の心を惹きつけたのだ。

彼女のnoteを全て読み終えた。
すごくいいnoteだと思ったので、本人に直接感想を伝えたくなった。
僕は彼女が所属するSAZANAMi Λug.のライブスケジュールをチェックし、チケットを購入した。
どうしても一度会って話がしてみたかった。
あのnoteを書いている人物が、一体どんな人なのかとても興味があったのだ。

当時の僕は、彼女のSNSはnoteしかフォローしていなかったので、ライブの前日にXとインスタを両方フォローした。
そして彼女のインスタを開いたら、ストーリーが更新されていたので見てみると、そこには次のようなビックリする文章が書かれていた。

ブーメランチャンネルさんが過去から遡って毎日note読んでくれる……
どういうこと……
あのあえて説明はなしで伝わる人にだけ伝わればいいです笑

まだ一度も会った事がないのに、なんと僕の名前が書かれていたのだ。
とても驚いたし、何が起きているのか分からなかった。
何の面識もないはずのアイドルが、インスタで突然僕の名前を出してくれていたのだ。
こんなの驚くなという方が無理だ。

インスタのストーリーは24時間経つと消えてしまう。
僕がこのストーリーを見たのは、投稿から19時間が経過した頃だった。
彼女のインスタをフォローするのがあと5時間遅かったら、僕はこのストーリーを発見できていなかった。
時間ギリギリ、奇跡的に発見したこのインスタのストーリーがきっかけで、二人の物語は進んで行く事になる。

彼女がなぜ僕の名前を知ってくれていたのか、そしてなぜストーリーに名前を載せてくれたのか、考えたら気になる事だらけだったが、翌日ライブに行く事は決まっていたので、その時に本人に直接聞いてみようと思い、僕はインスタをそっと閉じた。

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2023年10月14日

SAZANAMi Λug.の夏澄來世に会うために「池袋SOUND PEACE」というライブハウスに向かった。
この日は、様々なアイドルグループが出演する対バンイベントだった。
それぞれのファンが、お目当てのアイドルのライブが終わると最前列を譲り合う優しい現場だった。
SAZANAMi Λug.の出番前、最前列が空いたので僕はその場所へ歩を進めた。
夏澄來世の本業でもある「アイドルとしての姿」を、一番いい席から見てみたかったのだ。

でもライブが始まる前は、正直不安な気持ちもあった。
noteで好きになった人だけど、もしもライブがあまり好みじゃなかったらどうしようと思っていたのも事実だ。
目の前で見るライブで全てを判断したかったから、あえて曲の予習とかもしないでこの日は会場まで来ていた。
彼女の情報はnoteの文章しかなかったので、どんな曲をやっているのかも知らなかったし、他のメンバーの事も全く知らなかった。
だから、とにかくドキドキしていた。
頼むから自分の胸に突き刺さるような音楽であってくれと祈っていた。


SAZANAMi Λug.のライブがスタートした。
僕が抱いていた不安なんて、一曲目から彼女たちは吹き飛ばしてくれた。
「SynC'rock」という曲からスタートしたのだが、これがめちゃくちゃかっこよくて、一瞬でステージに釘付けになった。
SAZANAMi Λug.は5人組のグループなのだが、一人一人しっかり個性があって、それぞれが主人公のような雰囲気を持つメンバーの集まりで、誰がセンターに来てもそのメンバーが主役となって曲を盛り上げるから、とてもいいグループだなと思った。
そしてとにかく楽曲がいい。
文句なしにいい。
初めてライブを見た僕でも、お世辞抜きで楽しめた。


ライブが終了してしばらくすると、SAZANAMi Λug.の物販が始まった。
彼女がインスタで僕の名前をなぜ出してくれたのか、その答え合わせをする瞬間が遂にやってきたのだ。

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SAZANAMi Λug.の物販に行き、チェキ券を購入した。
スタッフの方から、どのメンバーとチェキ撮影希望かを聞かれたので「夏澄來世さんでお願いします。」と伝えた。
するとそのスタッフさんが來世ちゃんを呼んでくれ、彼女が僕の隣に来た。

僕は少し緊張しながら「初めまして、ブーメランチャンネルです」と自己紹介した。
すると彼女が、目を大きく開けながら「え~~~!」と驚いてくれた。
やはり僕の事を何かで知ってくれているようなリアクションだった。
すぐにでもその理由を聞きたかったが、目の前にはチェキ撮影のスタッフさんがいたので、あえてそれ以上の会話はせず、まずはツーショットチェキを撮らせてもらった。

チェキを撮影後、その場所から少し移動して二人きりの空間になった。
まずは僕の方からnoteの話をした。
noteの文章がとても好きでファンになり、今日この現場に駆け付けたという事を伝えた。
すると彼女はとても喜んでくれた。


そしてずっと気になっていたインスタのストーリーの件を聞く時がきた。
どんな答えが返ってくるのか予測できなかったため、ドキドキしながら僕は口を開いた。


「昨日、來世さんのインスタをフォローしたのですが、ストーリーを見たら僕の名前が書いてあったんですけど、僕の事を何かで知っていてくれているという事ですか?」


すると、來世ちゃんはこう答えた。

「もちろんです~!」


僕は立て続けに質問をした。


僕「ラジオの投稿とかで名前を知ってくれてる感じですか?」
來世「もちろんです~!」
僕「もしかして、オードリーのラジオですか?」
來世「はい!」
僕「えっ、リトルトゥースなんですか?」
來世「そうです!」


こんな偶然の出会いがあるのかと思って、ビックリしてしまった。
偶然読んだnoteがきっかけで好きになったアイドルに会いに行ったら、そのアイドルがまさかのリトルトゥースで、ラジオの投稿を通して僕のラジオネームを知ってくれていたのだ。
偶然にしては出来すぎているぐらい、運命を感じてしまうような出会いだった。

話を聞いてみると、途中ブランクはあると言っていたが、彼女はオードリーのオールナイトニッポンを第1回目から聴いていると言っていた。
「春日体操にも行ったんですよ~!」とも言っていて、自分なんかより全然リスナー歴の長い先輩リトルトゥースだった。
彼女はそれぐらい昔からオードリーの事が好きらしい。
まさか彼女がオードリー好きだとは知らなかったのでその事を伝えたら「私がオードリー好きなのを知っててくれて、会いに来てくれたんだと思いました~!」と驚いていた。
ライブ終了後、彼女のインスタのストーリーを見てみたら、次のような投稿があった。
この画像を見ればお分かりの通り、彼女は正真正銘のリトルトゥースだった。


ずっと気になっていたインスタのストーリーの謎が全て解けた。
彼女はリトルトゥースで、普段聴いているラジオ番組の投稿者が、突然自分のnoteの読者になったから驚いたらしい。
それでインスタのストーリーに僕の名前を載せてくれたというのが答えだった。

生きてると「こんな奇跡みたいな事が起こるんだ~」と思うことが時々起こるが、來世ちゃんとの出会いはまさにそれだった。

オードリーのオールナイトニッポンがきっかけで、二人の歴史がちょっと変わったと言っても過言ではない。
赤の他人だった二人の人生が、ラジオを通して交差したのだから。

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來世ちゃんと初めて会った日に見たSAZANAMi Λug.のライブがとにかく良くて、僕は彼女のライブに通うようになった。
ある日のライブ終了後、物販で彼女が「ラジオで読まれた時に、いつも気づいてます!」と言ってくれた。
そしてその後に「目の前にいるのが信じられないです!」とまで言ってくれた。
自分なんかの事をそんなふうに思ってくれる人がいると思うと、言葉にならないぐらい本当に嬉しかった。
その言葉が今もずっと心に残っているから、これからも投稿を頑張ろうと思っているし、彼女に会いに行った時にいつまでも現役の投稿者でいられるように、これからも日々ネタ作りに励もうというパワーまでもらった。
僕がラジオ投稿を頑張る理由の一つに、間違いなく彼女の存在がある。


そんな彼女のXを遡って見ていたら、ある一つのポストを発見した。
日付を確認すると、僕と彼女が初めて会った日の前日に投稿された物だった。
そこには「最新の下書きを献上します。」という言葉とともに、Xの下書きをスクショした画面の投稿があった。
その下書きの、上か4らつ目の文章を読んで僕は胸が熱くなった。


インスタのストーリーで僕の名前を出しながら同じような投稿をしてくれていたので、この文章は僕の事を指していると思う。
僕たちがまだ出会う前、そしてこれから出会うという何の確証もない頃から、彼女は僕の事を「同志」だと思ってくれていたのが、なんだかとても嬉しかった。
そして僕の存在が、彼女がnoteを頑張る理由の一つになっていたのかと思うと、感動せずにはいられなかった。

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彼女がXの下書きに書いてくれていたように、僕も彼女の事を「同志」だと思っている。
そんなオードリーのオールナイトニッポンを長年聴き続けてきた二人の人生が、奇跡的に交わった2023年。
2024年は一体どんな年になるのだろう。
一つだけ言える事は、來世ちゃんとの関係性はこれから先もずっと続くような気がしている。


なぜなら二人は、オードリーのオールナイトニッポンをこよなく愛する「同志」だから。

土曜深夜1時。
ニッポン放送から流れる若林さんと春日さんの声を、これからも僕たち二人は聴き続け、共通の時間を過ごしたという、かけがえのない思い出を積み重ねていくのだろう。
そしてそれは僕たち二人に限った話ではなく、土曜深夜1時にニッポン放送を聴いているリスナー全員にも当てはまる事だと思う。
あのラジオを毎週聴いている、そこのあなたの事も僕は同志だと思っている。


そんな全国にたくさんいる同志のうちの一人と、今回運命的に出会った。
オードリーのオールナイトニッポンを通して巡り会えた夏澄來世との縁を、僕はこれからも大切にしていきたい。
同じラジオを聴き、同じ思い出を共有し、内輪話でゲラゲラ笑い合う、そんな昔からの腐れ縁のような「おともだち」みたいな関係をこれからも続けたい。

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