オソロイ

平凡な日常に、色づいた。

何色ですか、答えられたら終わりが来そうで怖いのだ。

傷ばかりの時間に、優しい光が見えた。

その先には誰がいましたか、答えて始まったのだ。

きみだと。

きみ以外は嫌だと、心の奥底にある何かが息をした。

何気なく使っていたものも、買ったものも。

増えていく度に、優しくなれる。

増えていく度に、わたし。

わたし、痛くなる。

あ。

きみと同じものだと思うと、愛おしい。

離れているくせに、きみを感じている。

守れないくせに、天井に手を伸ばす。

わたしは何とも、無力です。

きみの瞳の色も、何もかも。

まだ知らないままなのに、卑怯なのかもしれない。

それでも、わたし。

わたし、香水をつける。

赤い瓶の隣、並んだ姿は。

未来を示す、オソロイ。

この記事が参加している募集