クールブースト8
忘れたいことがあった。
忘れちゃいけないこともあった。
真赤に腫れた、惚れた。
ダメなことくらい、わたしが一番分かっていたのにな。
自分から傷つきにいくなんて。
どれだけわたしは、いい世界にいるんだろう。
飽きたのだ、結局は。
いつも通りの暮らし。
いつも通りの1K。
いつも通りのスーパー。
いつも通りの帰り道。
覚えているかい、あの柄を。
あの柄は、元気なあの子。
その柄は、あんまり会えなくなった子。
どんな日でも、一緒。
蝉が鳴き始めた、去年もこの頃。
ゆっくり煙と、一緒になるのがわかる。
水の中に落ちる。
堕ちる。
鈍く火を消す音が、響いた。