肖像画と女心~私の自慢(中編)②スペイン王妃マリア・ルイサの場合~「腕」
②スペイン王妃マリア・ルイサの場合
「最高の名君」の次は、「最悪の王妃」をご紹介しよう。
彼女の名はマリア・ルイサ・デ・パルマ(1751〜1819年)。
母に溺愛されて育ち、14歳で父方の従兄にあたるスペインの王太子カルロス(後のカルロス4世)と結婚。義父の死によって、王妃になったのは1788年、37歳になってからである。
気の強い彼女は、気が弱い夫カルロス4世を完全に尻に敷いており、宰相のマヌエル・ゴドイとは愛人関係にあると、まことしやかに囁かれていた。
また、息子である皇太子フェルナンド(後のフェルナンド7世)の最初の妻マリア・アントニアを嫌っており、ついには毒殺したという噂まであったが、明確な証拠はない。
ゴヤの肖像画でも意地の悪そうな顔つきに描かれており、いかにも「やりかねない」と想像させてしまうのも、一つの原因とも言えるだろうか。
結婚間もない頃の肖像画を見てみよう。
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