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【感想】ドラマ『わたしの宝物』

『わたしの宝物』において、托卵は重要なテーマであります。
托卵とは、動物の習性の一つであり、鳥類が他の鳥の巣に自分の卵を産み付けその鳥に卵を孵化させ、雛を育てさせる行為を指します。
人間で言えば、妻が夫以外の男性との間にできた子を、夫の子として出産し夫に育てさせることを指すことであり、まさに『わたしの宝物』は托卵妻を描いた物語であります。
托卵は一般的に考えても、倫理的な問題であり、夫が自分の子ではないと知らないで子育てをして後に発覚することがあれば、夫婦間の破綻、もしくは法的な問題も発生することも考えられるでしょう。
また、物語では実際に夫の宏樹がDNA検査により、自分の子供ではないと明らかになってしまいます。
托卵自体は、動物の生態から派生したものであり、ドラマを描くにあたり、人の行動に当てはめられることによって、鳥類と比べると非常に複雑化する問題となります。
話を戻すと、ドラマ『わたしの宝物』は托卵から、夫以外の男性の子を自分の夫の子として育てるというタブーなテーマを軸に物語が進んでいきます。
托卵における、倫理的な問題だけではなく、人間関係の複雑さを考えさせる一方で、登場人物それぞれの葛藤や成長を描いた物語とも言えます。
私たちにとっての大切な宝物というのは、何かを問う物語でもあり、その宝物を見つけることに着目すると本作はより面白いのではないかと思いました。
モラハラ夫である宏樹の性格は、生理的に受け付けられないものがありましたが、美羽が赤ちゃんを出産して宏樹の価値観、感情は大きく変わっていくものとなります。
全体を通して、托卵というものから美羽と冬月との関係性によって拗れて‘‘わたしの宝物’’というタイトルがダブルミーニングとして機能してることや美羽と宏樹、冬月との関係性から怒りや悲しみ、様々な感情が交錯し合う中で辿り着いた、それぞれの宝物で何を大切にして生きていくべきか、この先どのように歩むべきかを考えさせられる展開も見事であり深い作品でありました。

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ゴロウ@読書垢/Noter
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