
【感想】ドラマ『憶えのない殺人』
『憶えのない殺人』というドラマを今さっきリアタイで見て、すぐさま感想をまとめてみた。
本作は、認知症と殺人事件をテーマに描かれ、認知症を患う元警官の佐知は殺人事件を追う刑事に疑われるのだが、自分は殺人を犯した記憶はない。
本人は憶えのない事件だが彼には犯行動機があり、犯人を追い詰める刑事の北嶺は佐知の本性を探っていく。

殺人事件の被害者は、女性へのストーカー行為で佐治が逮捕した男であり、服役後にその女性を襲いケガを負わせ、後に自分が殺人犯だと疑われていることに気づいた佐治は、警官としての誇りにかけて無実を証明しようとする。
本作の見所はなんと言っても、佐知の抱えた認知症の恐ろしさであります。
認知症は記憶や思考、判断力といった自分自身を感じる部分を徐々に奪っていく恐ろしい病気であり、大切な思い出や愛する人の顔を忘れてしまうことは、想像するだけでも心が締め付けられるような感覚があります。

認知症は本人だけでなく、家族や友人にも深い影響を及ぼすものだと考えられ、信頼する人や愛する人がその人でなくなっていくのを見守るのは悲しみが伴うものだと実感させられました。
佐知の抱える孤立感や彼の誤解が生じた事件など、いくつもの因果関係が絡み合い、点と点が結び殺人事件の真相が明らかとなっていきます。

医学的観点から、認知症は治療法がない点も恐ろしいことでありますし、かと言っても認知症が原因で悲観的、絶望的であるとは限りません。
『憶えのない殺人』を見て感じたことは『大いなる不在』を見た時の認知しているはずの父の不在と重なるものがあり、過去と現在から今見える世界というものは、記憶により成り立っているのではないかと考えさせられるものがありました。
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