見出し画像

【感想】映画『ぼくのお日さま』

今年に入って色んな映画を見て、久しぶりな感動と懐かしさを覚える映画に出会いました。
『ぼくのお日さま』という作品は、下半期ベスト3もしくは上半期、下半期を含めても上位に位置する作品だと感じました。
物語の概要としましては、アイスホッケーが苦手な吃音のタクヤとコーチのことが気になるさくら、小さな田舎町でフィギアスケートを教える荒川コーチ、スケートリンクでの淡い恋模様とタクヤの成長譚の描かれ方は繊細で画面全体から美しさが際立つものがありました。
荒川の提案でタクヤとさくらは、アイスダンスの練習をし、やがて三人の心は一つに重なっていく。
私は本作のタイトルにもある、‘‘ぼくのお日さま’’という言葉の意味合いを脳内で巡っていました。
三者三様で互いの思う気持ちはそれぞれ違うし、雪の降り始めから、雪解けまでの間でタクヤはさくらを思い、荒川はタクヤを思う。
お日さまという言葉は、思う相手に向けた特別な存在を意味しているのではないかと感じました。
お日さま=太陽のような存在であるからこそ、前向きに頑張れるし憧れから好意へと向けられる。
こうした視点は、タクヤがさくらに思う気持ちを象徴しているのではないかと考えられますし、ぼくのお日さまはサクラとも感じました。
荒川とサクラの出会いから、ある問題のすれ違いで切なさを残す結末になってしまいます。
ですが、タクヤとさくら、荒川とのフィギアスケートによって繋がった楽しい思い出は決して消えることはなく、同様に切なさは一生残り続けるものだと感じました。
吃音や同性愛の問題も抱えながらも、ナイーブな感性に心が浄化される気持ちになりました。
美しい雪景色と三人の心の交流から生まれたものは、透明で繊細な綺麗な結晶のようなものだと感じました。
タクヤ役の越山君やさくら役の中西ちゃん、荒川役の池松さんと奥山監督でしか作り出せないもの『ぼくのお日さま』は完璧な日本映画の名作であることは間違いないですし、これまでの邦画史にはなかった新しい視点の発見へと導いてくれた作品であると感じました。

いいなと思ったら応援しよう!

ゴロウ@読書垢/Noter
よろしければ、サポートお願い致します。 頂きましたサポート資金は、クリエイターとしての活動資金として使わさせて頂きます。これからも、宜しくお願い致します。

この記事が参加している募集