【感想】映画『ボレロ 永遠の旋律』
『ボレロ 永遠の旋律』という作品を劇場で鑑賞しました。
天才作曲家であるラヴェルという人物がどのようにボレロという曲を作り誕生させたのか、国境を越えた今なお、ボレロという曲はたくさんのミュージシャンに愛され続け、演奏されている。
狂乱の時代のパリで、スランプに苦しむモーリス・ラヴェルは、ダンサーのルビンシュタインからバレエの音楽を依頼されるも、一音もかけられない状態でいた。
彼の過去は音楽によって表現され、戦争や母との別れなど様々な葛藤があり、彼の音楽は人生経験を通して築きあげられボレロが完成する。
ラヴェルは、劇中の中で曲想が湧き出てそこから‘‘鳥のように飛び立つ’’という言葉で表現している。
自分の全てを注ぎ込み作り上げた彼の音楽は官能的な魅力があり、ボレロという曲は1分間のリズムを17回刻むものであり、こうした位相から曲を聴く人たちは彼の音楽に対して恍惚感を覚えさせられます。
クラシック音楽に限らず、音楽というものは全般的に抽象的なものである。
だが、彼の音楽には具象的な一面があり、彼の抱えた苦悩や葛藤がそのまま反映されているような感じがして、ラヴェルの伝えたい思いこそが、ボレロだと思いました。
ラヴェルを演じる主演のラファエル・ペルソナを含む、ドリヤ・ティリエ、ジャンヌ・パリバールの演技力も素晴らしいものでした。
私が本作で特に良かったところは、ラヴェルのボレロにかける創作論について、伝記映画としてのラヴェルのボレロによる作品論、そしてペルソナ演じるラヴェルの姿が重なり、壮大な演奏を観客たちに魅せる姿はスクリーン越しにも鳥肌が立つものがありました。
魂が躍動する旋律、彼の人生は音楽そのものであり、音楽映画の枠には収まりきれない劇中での生演奏は聴く私たちの心は彼の名曲によって虜となってしまいました。