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【感想】映画『八犬伝』

壮大なスペクタクルドラマを見て感動した。
『八犬伝』という映画なのだが、山田風太郎原作の「八犬伝」を読まずに映画から入って見たのですが、原作未読でも十分に楽しめる映画であり、とても大満足でした。
映画『八犬伝』に描かれる滝沢馬琴の生涯と大作「八犬伝」での八人の剣士の運命を交錯させながら、何故彼は『八犬伝』を書いたのか、実話と虚構の対比は巧みであり、極上のエンターテイメント作品であり、キャスト人も役所さんや内野さんといった豪華な俳優人であるところも本作の魅力であります。
「八犬伝」の挿絵を描きながら創作愛が衝突する葛飾北斎との関係や八犬士と玉梓との戦いもまた見所だと言っても過言ではありません。
里見家の呪いを解く為に八犬士を生み出した伏姫、珠と痣のある八人の剣士は運命により導かれ、玉梓と死闘を繰り広げるシーンは大迫力でありました。
大迫力を生み出す為のVFXの技術を駆使した戦闘シーン、創作論での馬琴と北斎のやり取り、馬琴の理解者である息子の宗伯、宗伯の嫁である、お路が馬琴の代わりに口述筆記で「八犬伝」完成させるところは誰もが感動するところだと思いました。
私が特に『八犬伝』を見て感動したところは、お路が馬琴の意志を受け継ぎ、馬琴の「八犬伝」を必ず完成させるという強い心に胸を打たれたところであります。
それは、夫の宗伯が父の馬琴の理解者であるからこそ、宗伯の意志も受け継いでいるからだと感じさせられました。
八犬伝から様々な人間模様や生きざまを学んだ大傑作であることは間違いないし、時代物が苦手な人でも時代背景を気にせず、夢中になって楽しめる作品だと思いました。
『八犬伝』で馬琴演じる役所さんや北斎演じる内野さんの演技は素晴らしかったのですが、個人的には馬琴の妻である、お百を演じる寺島さんの演技力は飛び抜けて素晴らしいものだと感じました。
馬琴の好きな創作で家計を支えられない現状に、お百は馬琴を罵る場面が何度もありますが、それは家族のことを一番に考える嫁としての人間性が現れているものであり、病弱な宗伯を看病しながら、彼のことを気にかける姿は母の愛情を窺えるものがあり感動させられるものがありました。
映画『八犬伝』は、馬琴の創作論を巡っての物語と「八犬伝」の八剣士の物語として二度楽しめるものがあります。
現実と虚構を越えた先のオリジナルの『八犬伝』は見る人全てを虜にする力を秘めた映画だと思いました。

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