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「ねぇ聞いてよ!」と言える友だちをもつこと

"仲のいい友だちの好きなところは、「ねぇ聞いてよ!」と言ってくれるところ"

飲み会の帰り道、そんな風に笑う会社の先輩を見て、心底感銘を受けてしまった。

心を開いて気軽に自分の話を「聞いてよ」と主張できるその友だちも、それを鬱陶しがらずに「好きなところ」だと肯定できる先輩も素敵だ。徳が高すぎる。人間力が違いすぎる。

自分に「ねぇ聞いてよ!」と言える友だちはいるだろうか。友だちの「聞いてよ」を素直に歓迎し、肯定する心はあっただろうか。なかったかもしれない。自分の「聞いてよ」は胸のうちにしまい、他人の「聞いてよ」には作った笑顔で教科書で習ったような相槌を返してしまう。自分の話をする気もなければ、人の話を聞く気もないということか。(仕事は別です。むしろ、仕事だとちゃんとできたりする。)

だからよく会う友だちもいないし、長く続く友だちもいないのかも。伊達にこんなペンネームをつけていない。ぼっちここに極まれりだ。

ただ、先輩の話を聞いて、ひとりだけ「聞いてよ」と言えそうな友だちが頭の中に思い浮かんだ。婚姻届の証人欄にサインをしてくれた大切な友だちだ。

あの子になら「聞いてよ」と頼めるかもしれない。いや……、頼んだところでうまく話せるだろうか。私と同じくらいなんだかんだ孤独で、コミュ障なんだよな〜。(たぶんこれはお互いに認識しているし、ここで書いてもいいと思う。本当に友だちだから。)毎回久々に会うたびにお互い人見知りして、ちょっと気まずい沈黙が流れるの、本当に面白い。いつも笑いそうになる。ごめんねぇ。

この友だちと前回会ってから半年くらい経った。また人見知りするかもしれないけれど、また連絡してみようかな。そんなふうに思えるこの日の飲み会だった。


そもそも、「azumiがエピソードトークできないらしいから」という趣旨で開催されたこの飲み会、本当に満足度が高かった。満足度が高いというのは、私が急にエピソードトークが上手くなったからとかではない。先輩たちの傾聴力が高かったのだ。気持ちよく喋らせてもらえる場を用意してもらえたのだ。傾聴力の技術を学ぶ場でもあったかもしれない。

まず、押し黙る時間が長い。私なら、うんうんうんうんと4回は相槌を入れてしまいそうなくらい長い。沈黙を恐れず黙っていられることはすごい。

私のような上手く喋れないタイプだと、「〇〇と思うような〜思わないような〜難しいんですよね〜……」と話の着地がごにょごにょしてしまうことがある。でも、実際はそこが一番聞いてもらいたい気持ちの部分だったりする。そこを、最後まで聞いてもらえる機会なんて滅多にない。耐えてぐぐっと押し黙り、しかし無視しているとかではなく、聞いてるよという意思はしっかり見せている。これができる人はなかなかいない。私もできてない。喋りながら感心してしまった。

そして、会話の軌道修正がすごい。会話の間が空いてしまって、次の話題を探しているとき、なんとなく話が脱線して、別の話題に展開しそうなとき、ふっと私の話題に戻してくれる。これはたぶん頭を使って意識的にハンドリングしているんじゃないかな〜と思った。無意識だったらそれはそれで天才。なお、「私の話題に戻してくれる」のは、私のコミュニケーション力がテーマの飲み会だったから。たぶん別テーマだったら、別の人にうまくパスしてくれそうな感じがする。適材適所にボールを配置してくれそうだ。

結局、飲み会で話せるかどうかは「相手の傾聴力×自分のねぇ聞いてよ力」というわけか。今回はさすがに相手の傾聴力が違いすぎたなぁ。


なんで先輩の傾聴力が高いのか。

やっぱり機会が多いからだと思う。この日いた先輩2人は両方ともマネージャー職だ。マネージャーは月に1回、各メンバーと「振り返り」をする。メンバーを多く抱える人は、月に20人とか。振り返りとは、私のnoteで何度も出てくる言葉。1on1ミーティングみたいなやつ。私はこのミーティングで、傾聴力のある先輩にたくさん話を聞いてもらい、すべてをさらけ出してきた自負がある。なんじゃそりゃ。

逆に言えば、その振り返りをするマネージャー陣は、私のようなヤツを毎月、数人〜十数人相手してるってわけだよな。いろんなタイプの人の話を、業務として、1対1で聞いている。

そりゃー傾聴力が身に付きますわな!!! 私はどうしようもなく「振り返り至上主義者」だ。なんでも振り返りのせいにしてしまう。だから絶対これのおかげだって思ってしまった。考えすぎかもしれない。でもやっぱり因果関係は絶対にあるだろうと思ってしまう。


私はどうだろう。残念ながら前職でマネージャーになることはできなかったけれど、ありがたいことにいま、「業務で話を聞く」機会はたくさんある。人の「聞いてよ」を頭だけでなく心でも受け入れて、親身にじっくり聞いていけば、先輩のような傾聴力が身につくのかもしれない。これは、これからの仕事でやっていけそうだ。

あとは、自分の「聞いてよ」をどうするか。やっぱり、あの友だちに聞いてもらおうか。「婚姻届の証人になってもらったのに、まだ出せてないんだよ。遅すぎだよね」なんて、お土産話でも持っていって。

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ぼっちのazumiさん | ライター
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