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【キュンパス2025】津軽最北端、もう二度と電車が来ない終着駅へ

結局2025年もやっちゃいましたキュンパス。どんなに大変でもフリーパスの魔力には抗えません。弾丸電車旅は楽しいからね。

2日券も登場した今年のキュンパスですが、あえて1日券にして、日帰りで三厩駅に行ってきました。

やっぱり行きたかった、もう一つの終着駅

昨年のキュンパスでは大湊(おおみなと)駅に行きました。

「本州の終着駅」で過ごした素敵な11分間は忘れられません。しかし、道中あまりにも混雑しすぎて阿鼻叫喚だった光景も忘れられません。

新幹線も乗れるJR東日本のフリーパス「キュンパス」、こんなにも混乱するならもう販売されないかもしれないし、少なくとも私はもう使わないかな……なんて思っていました。正直なところ。

しかし……やっぱり気になる「もう一つの終着駅」、三厩(みんまや)駅。

キュンパス公式ページより引用
北に伸びる右の触覚が「大湊(おおみなと)駅」、
左の触覚が「三厩(みんまや)駅」

三厩駅は津軽半島最北端の駅であり、津軽線の終着駅です。

キュンパスのようなチートすぎるフリーきっぷでない限り、こんな端っこの駅に到達できる機会なんてほとんどないでしょう。

しかも三厩駅、2027年めどに廃止されてしまうんだそう。現在は2022年の豪雨被害から復旧することなく、電車の来ない駅として廃止を待つのみの状況です(代行バス・タクシーに転換)。

参考:豪雨被害で不通の津軽線(蟹田~三厩間)、令和92027)年春廃止へ

なくなる前に、行くしかないじゃん……。

そう思っていたところに、2025年のキュンパス実施が発表されました。仕方ない。やってやろうじゃないですか、弾丸旅。

奥津軽いまべつ駅、そういえばJR北海道じゃん

※キュンパスはJR東日本限定のフリーきっぷです

最初はなにも考えず、行けるところまでは新幹線で行き、三厩駅までは代行バスを利用する想定で旅程を組んでいました。

えーっと、東京駅から奥津軽いまべつ駅は新幹線に乗って、そこから出てる代行バスに乗ればいいのかな〜

……なんて思っていたら、

キュンパスで指定席を検索したときの結果

出ない!! 何度やっても検索結果に出てこない!!!

「どういうこと??」と焦りましたが、奥津軽いまべつ駅がJR北海道管轄だったことを思い出しました。18きっぷで奥津軽いまべつ駅に行ったことがあるくらいには電車が好きなのに、すっかり抜け落ちていました……。早めに気づいてよかった。

最終的な旅程はこんな感じ!

東京6:56はやぶさ指定席〜10:07新青森
〜青森に移動してフリータイム〜
青森13:23津軽線〜14:04蟹田
蟹田14:25代行バス〜15:29三厩

三厩16:16
代行タクシー〜17:15蟹田
蟹田17:27津軽線〜18:03青森
青森18:11奥羽本線〜18:15新青森
新青森18:39はやぶさグリーン席〜22:04東京

わーい! 今回は終着駅に1時間弱も滞在できる!!

なんてったって、去年は滞在時間11分間でしたからね。終着駅の旅は厳しい。

なお、帰りがグリーン席なのは、普通に指定席が取れなかったからです。指定席が2回無料というキュンパスの恩恵をちっとも活かしきれていません。それだけ予約争奪戦なんですもの、仕方ない……。

東北新幹線ギャンブルに賭けよう

寒波、豪雪、そして東北新幹線遅延のニュースが飛び交い、キュンパス利用者の嘆きの声があちこちで上がっていた今週。フォロワーさんには「キュンパス行くつもりだったけどキャンセルした」なんて人もいました。

そんななか、それでも、1ヶ月前に取ったこのチケットを手放さなかった私は、立派なギャンブラーなのかもしれません。遅延するかもしれない、帰れないかもしれない恐怖に、半分ゾクゾクしているのですから……。

そして2月21日、2025年のキュンパス開始です!

新青森駅

おはようございます。朝から新幹線で大爆睡し、外は気付けば一面真っ白な銀世界になっていました。

おそらく東京方面から来たであろうキュンパス利用の旅行者が、大人も子どもみんなはしゃいでいて、まるで雪のなかをぴょんぴょん駆け回るうさぎみたいだな……なんて思います。まあ私もその一人なんですけど。

浮かれ気分のまま、駅ナカでど定番のりんごスイーツを食べました。

りんご飴とりんごジンジャー

りんごジンジャー、きゅっと酸っぱくてうまい! 目が覚める味です。

新幹線高架下に伸びるつらら、怖い
雪にまみれた特急つがる

特急を見送ってから気づきましたね。そういえばキュンパス、特急も乗れるじゃんと。まあいいでしょう。ゆっくり青森駅に向かいます。

青森駅

みんな撮ってた特急つがると青い森鉄道の共演
たぶん鉄オタの血が湧くシーンなのだろう

青森駅でももう少し、ど定番の観光をさせてください。

青森魚菜センターといえば……
のっけ丼だ〜〜〜!

2,000円分の回数券のようなチケットをもらって、市場内の各店舗でご飯や味噌汁、海鮮などと交換できる仕組みです。

よく考えたな〜。これなら一般のお客さんが気軽に市場に来るし、各店舗は釣り銭が発生しないからオペレーションもラク。よくできた食のエンタメテーマパークです。

個人的には、中トロが一番おいしかったかな。脂が乗ってるのはもちろん、味の濃度が尋常じゃなかった!

駅の方へ戻ります。

ねぶたの家 ワ・ラッセの裏
透き通る水面をよく見ると……
ヒトデがいる!!

「青森駅近辺で一番お気に入りのスポットは?」と聞かれたら、「ワ・ラッセの裏」と答えるでしょう。

定番観光地の裏にひっそりと小さな砂浜があって、水面はぱっと見黒いのに、近づくととんでもなく透明。生き物がこんなにはっきり見える海って、青森ならではじゃないかなぁ。

学生時代に見て感激した場所だったので、もう一度訪れることができてよかったし、変わっていなくてよかった。

津軽線で三厩を目指して

ワンマンカーは平日でも混み合っていた

いよいよここからが旅の本番、終着点の三厩駅へ向かいます。

まずは、青森駅から蟹田駅まで。実質的に津軽線が運行されている終着点まで進みます。

津軽線の車窓から
こんもりした森があったらだいたい神社

乗っている電車は間違いなく蟹田行きなのですが……、車内の自動アナウンスは「三厩行き、ワンマンカーです」と告げてきます。

まだ、まだここにいたか三厩駅……! 消えかかっている存在の輪郭を感じて、嬉しいような、哀しいような。

蟹田駅に到着。ここからは代行バスです。なお、あくまで津軽線の代わりですので、キュンパスを持っていれば無料で乗れます。

バスから見えた奥津軽いまべつ駅のバス停。私鉄ローカル線みたいな可愛らしいネーミングですが、ちゃんとJR北海道の新幹線駅です。日本一小さい新幹線駅なのだとか。

そしてバスに揺られること1時間……

三厩駅、無事到着です!!!

三厩駅を観察する

今回は1時間弱も時間があります! じっくり三厩駅を味わいましょう。

まずは駅舎から。

すんごい雰囲気の駅舎
(たまたま暗めに撮れた)
時刻表
1日5本か…
運賃表オタクなので、
運賃表の撮影も欠かせません
かつては駅員さんがいたころもあったんだ
太宰治の小説の一説

廃駅(が決まった駅)の時が止まった感、侘しい雰囲気がある一方で、確実に時が進んでいるものも置いてありました。

2025年1月の広報誌
ピカピカの駅ノートBOX

駅ノートを開いてみると、なんと前日の2月20日に訪れている人もいるようでした! キュンパス期間ですものね。

広報誌や子ども新聞的なものも、比較的新しくてびっくり。ここは代行バスやタクシーの待合所としても機能していますし、「もしかして町のコミュニティスペースになりつつあるのでは?」なんて思えてきます。地元の人も鉄オタも、みんなが集える場所として、駅舎だけでも残ることを願います。

清潔なトイレもありました

ホーム側に出てみましょう。

ドアを開けると……
雪ッッッ!!!

50センチくらい積もった雪が迫ってくるようでした。でも大丈夫。たくさんの新しい足跡があり、ホームまで結構しっかり踏み固められています。気をつけてホームまで歩いてみましょう。

ガシガシ雪を踏んで
ついた!

当然ながら線路は除雪されていないので、こんもり雪に埋もれています。線路に足跡がついていたので、たぶん最近歩いた人がいますね……笑。どのくらい深いか分かりませんし、一応線路内なので私は辞めときました。

反対側
車止めが立っている

大湊駅で雪だるまを作ったのを思い出し、こっちの終着駅でも作っておくことにしました。

パウダースノーすぎて固めるのに苦労した

次に来た人が気づくといいなあ……。

ちなみに三厩駅、5分も歩けば海です。

波音と海鳥の声だけが響く

ほんとに人の気配がほとんどありませんでした。たまに車は通るけど。潰れた個人商店も結構あり、過疎の深刻さをひしひしと感じました。

そう考えると、2025年の広報誌が置いてあるような三厩駅は、今も現在進行形で生きている空間です。これからも止まってほしくないですし、廃駅になる2027年には、2027年の広報誌が置かれていますように……。

帰路へ

覚悟はしていましたが、やはりキュンパスにおいて青森〜新青森間の混雑は地獄でしたね。そこを時間通りに乗り越えさえすればもう大丈夫!

なんと一つの遅延もなく、全ての旅程をクリアしました! 無事東北新幹線に乗って東京に帰っています。

すごい! すごいぞ東北新幹線!! あれだけ雪や運休のニュースがあったのに! よくやった! ありがとう〜!!!

当初の動機であった、「二つの触覚」部分に行けた2024〜2025のキュンパス。目的を達成してしまったので、次はキュンパスを使うかも、どこに行くかも分かりませんが、お金をあまりかけずに新幹線に乗りまくれる機会ってなかなかないので、また魔力に抗えず行っちゃうかもしれません。


ではまた、次にあるかもしれないキュンパス旅レポートでお会いしましょう。

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ぼっちのazumiさん | ライター
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