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何事も、自然にかえりさえしたら楽だ。

 いかなる理由あるにせよ、人に接して、はなはだしき悪印象をとどむるがごときは、よいことではない。その人を思い出すごとに不快を伴うごときは、自己の誤解も多少ありとはいえ、その人にもまた大半の罪はあるなり。

 神の道を説く際にもよく注意して、相手の嫌忌するを、決して、強いて説くがごときことあるべからず。かえって、悪しざまに言わるるのみなり。

 すべて何事も、きわめて自然に振るまうのが一番よい。なにを説き、なにを述べん、など考うるは逆なり。口から出まかせに言えばよいなり。はなはだ容易にして、しかも真なり。真は楽なり、自然なり、容易なり。

 わが如く他人を考えがちのものなれども、こは、非常なる誤りなり。いろいろの型の人あることを如実に知らねばならぬ。

 人を神の国にみちびかんとせば、一歩一歩よりせねばならぬ。急に天国に入らしめたところで、あまりに事の以外なので、びっくりし、狼狽し、気が遠くなるまでなり。

 こちらより、道をあたらしく造りやらんと焦慮するにはおよばない。その人自身に、一歩ずつ道を拓かせ、そして、その拓いた道を進ますのでなくては、その人に真に「すすむ」ことはできないのである。こちらは単に、応援してやり、助言してやればよい。

 道を拓くことのうえにも、万人万様の様式があるのだから、決して一様に思ってはならぬ。

無理をするから苦痛がある。

何事も、自然にかえりさえしたら楽だ。

『信仰覚書』 出口日出麿著

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