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生まれたての赤児の気持ちで
先入主が万事に非常に影響するものである。一切の人に対して、最初に好感をいだかせねば、この地上の人々はよりつくものではない。最初に、おそろしい、いやな人だと思わすと、もう二度目にいかに親切にしてやっても、先入主が邪魔して、チットもそうは感ぜず、かえって逆に逆にととるものである。
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この信仰にはいる人は、まず第一に、今までの自分を忘れて、いま生まれてきたばかりの赤児の心持にならねばならぬ。いままでの外的学問や地位や身分や年齢などをすっかり忘れてしまって、「いろは」の「い」から万事やり直しの、すなおな初々しい心にならねばならぬ。
まず少なくも五年や十年は、「仕事」をしよ、功をたてようなどと思わずに、一意わが身魂に磨きをかけることが必要だ。つねに、自分でよく自分を知って、その時々の最善をつくしてゆくうちに、次第にその「最善」が向上して来るのである。
『信仰覚書』第六巻、出口日出麿著、生まれたての赤児の気持ちで