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心の奥に常に好意を

外的の行動は別として、その根本において、一切のものに対して好意をもって接することが大切である。

心の奥底に好意をもっていない人は、いかにその言葉や態度がいんぎん丁寧をきわめていても、どこやらに冷たいところがあり、寄りつき難いところがある。

言葉や態度に、一時の冷静さや峻厳さがあっても、その心の底に好意がひそんでいる際には、なんとはなしに一種の感銘をうけるものである。よしや、一時は恨んでも、あとになって有難くなつかしく思うものである。

要するに、根本において、相互に好意をもち合うということが、一番簡単にして、一番徹底した礼儀だと思う。この真の意味の礼儀が行われさえすれば、世の中は期せずして楽しく、のびやかに、有難くなるであろう。

物事や人に対しての好悪の念は、守護神や境遇や修養の関係上、地上の吾々には多少はまぬがれ難いものではあるが、しかしそこをよく注意して、吾々はあくまでもこの世一切のものに対して、根本において

好意をもつように努力し、省みねばならぬ。

ものを毀す場合でも、人を叱る場合でも、好意をもってするのと、ただ単に憎しみをもってするのとでは、その間に天地の差があるのである。

『信仰覚書』第七巻、出口日出麿著

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