利己なければ畏れなし
ものの成るかならぬかは、その人の一心に成るか成らぬかによってきまるものである。
人はだれでも死ぬ。まちがいなく死ぬ。死ぬまでになにかしておきたい。
とにかく、自分というものが、この世に生まれてきたしるしだけのことはそうとうにしておきたい。
――――とだれでもが考える。
結構なことだ。
この世の中はチッとも思うようにならない。
つまらない、あほらしい、しゃくにさわる―――とだれでもが思う。
まったくそうだ。
阿呆にならないと真の仕事はできない。人間というものは案外気の小さいもので、
ちょっとしたことにでも、自分のえらいところを人に見てもらいたいという気があって、いらぬことにいろいろと気をつかっているのだ。
「人はどうでもいわばいえ、おれはおれだけのことをやってみせる」という広い胸をもっていなければならない。
人を汚く思うのは、自分が汚いからだ。
利己なければ畏れなし
畏れなければ自由自在なり。
『生きがいの創造』 出口日出麿著