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自然に頭が下る人

相当の年齢にも達し、また相当の地位にもなってからでなくては、ほんとうの仕事というものは出来ぬと思います。

年の若い者が少々人より勝れた腕まえをもっていたとて、それを発揮しても、人は決してそれを快く受け入れてはくれません。
よし、目上の人に採用せられて上へ引きあげられても、自分の同僚やその他の者は容易に心服するものではありません。

また、自分がその地位にあらして、どれほど良いことを言い、また行ったところで、人はなかなかその言行そのもののみを見て批判してはくれずして、必ずその地位、年齢、門閥などの背景によって割り引きしてしまいます。

世の中を見わたしてみますに、名の通った人よりも、えらいと思われる人はずいぶん多いけれども、悲しいかな、その人は名が通っていないというために、人からさほどに待遇されていません。

それでも、当然えらい人のみが出世するのなら何でもありませんけれども、玉石混淆のいまの世の中は、まことに乱れているといわねばなりません。

無為にして化す、というのが教の極致だと思います。何かにつけて干渉がましいことをいうて人を導こうとしたところで、その人自身の心から、なるほどと改心せぬかぎり、とてもうまくゆくものではありません。

その人の前へ出れば、自然に頭がさがるといような人さえ出現すれば、世の中は自然によくなると思います。

お示しメモ2

これまでのお示し


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