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世一の勉強部屋

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noteは本当に勉強になる。 こんな勉強部屋を少し前までわたしは知らなかった。 少しずつ増やしてゆきます。スキしてくれた人は覚悟して。 本当はキチンとお知らせとお礼をすべきところ…
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2024年8月の記事一覧

「闇の奥」" Heart of Darkness "J.コンラッド(改訂)~映画「地獄の黙示録」

今回は「モダニズム文学」の簡単な説明と、その先駆の一例として、コンラッド作「闇の奥」を取り上げます。 また、同小説から翻案された映画「地獄の黙示録 "Apocalypse Now"」にも、最後に少し触れておきます。 Apocalypse Now「地獄の黙示録」 監督・脚本 F.F.コッポラ(1979アメリカ) 「読みづらさ」で名を残す奇書「闇の奥」は、ポーランド出身のイギリス作家ジョセフ・コンラッドによる中編小説です。 この作品は、今日でも、「英語で書かれた名作ランキ

時を止めて幻を掴む -立原道造の詩の美しさ

    【水曜日は文学の日】       美というものは、現実からかけ離れているからといって、決して程度が低いものではありません。   夭逝した詩人、立原道造は、現実離れした作風で、どこか夢想的な詩人と言われがちですが、読んでいると、意外な強さやしなやかさも感じる、私の好きな詩人の一人です。     立原道造は、1914年日本橋生まれ。早くから詩作を始めつつ、第一高等学校(一高)から、東京帝国大学工学部建築学科に入学、とエリートコースを歩みます。 帝大では、都庁や代々木

臓器スリーアウト、人生交代説

 不穏な表題から不謹慎な話を展開します。  十数年の臨床経験の中で病を通して多くの人生と死に関わってきた医者の、ひとつの仮説です。    これに尽きます。  何故か。  苦しいからです。助からないからです。現代医療の限界です。望まない侵襲的医療によって終わらない苦痛の業火に焼かれていく様は地獄と同義です。こんなはずではなかったと嘆く無責任な家族は患者本人から目を背け、意思疎通の手段を失った当人を苦しみから解放する術は、日本の法律が罪と規定しています。因って誰にも蛮行を