【短編小説】芥-3.空の鳥
埃っぽい部屋があった。しかし、机も本棚も整頓された状態で、荒れた様子はなく、使われていた当初の部屋にそのまま薄い灰のヴェールを被せたようであった。一歩部屋に入ってみると、陽の光で埃がぱらぱらと舞って光った。つんと、知らない匂いが鼻の奥を刺した。辺りを軽く見回す。端から端まできちんと揃えられた本。少し日焼けした三枚の写真。まだ奥に続く扉。それから、一冊の日記が机の隅にあった。なんとなく手にとって、流すように数枚めくっていると、ふと目に留まる頁があったので読んでみることにした。