うちゅう3

『それは本当に当たり前のことなのでせうか』

それは
本当に
当たり前のことなのでせうか

空があんなに青いのも
雲が形を変えるのも
海が寄せてはかえすのも
本当に
当たり前のことなのでせうか

朝がきて
夜がきて
陽が沈んで
月が昇って
眠って
起きて
季節(とき)が巡る

それは
本当に
当たり前のことなのでせうか

悲しい気持ちは
どこからやってくるのでせうか
嬉しい気持ちは
どこからきてどこに去っていくのでせうか

心は
いつから
この世に存在していたのでせうか

虫が鳴いて
樹が実をつけて
鳥が囀(さえず)って
くだものは甘くて
獣が集まって
オスとメスと男と女が出遭って
新しい命が生まれる

それは
本当に
当たり前のことなのでせうか

生きて
泣いて
笑って
光と影の中を
一歩また一歩と歩み
喜び
苦しみ
せいいっぱい朽ち果てて
誰かの養分になる

そうして星は巡って
やがてはみんな
灰と煙になって
星屑の宇宙に還る

それは
本当に
当たり前のことなのでせうか

今、
君のいのちがそこにあって
僕のいのちがここにあって
一枚の、同じ空のした、
同じ時を呼吸して、
僕のいのちを
君が詠んでいる

それは
本当に
当たり前のことなのでせうか


水もしたたる真っ白い豆腐がひどく焦った様子で煙草屋の角を曲がっていくのが見えた。醤油か猫にでも追いかけられているのだろう。今日はいい日になりそうだ。 ありがとうございます。貴方のサポートでなけなしの脳が新たな世界を紡いでくれることでしょう。恩に着ます。より刺激的な日々を貴方に。