『シャーロック・ホームズの思い出』~ホームズなんて足湯小説だ、なんて言ってごめん①~
ホームズものは初めてだったけど、読み始めるとサクサクと止まらない。ミステリとしてどうか?など関係なく、読み物として純粋に面白いではないか!
※大昔ホームズを読み進めていた頃の記録メモの①です。
書評家?の瀬戸川さんの影響もあって、
2巻目の短編集から読み進めてしまった。
※1巻の方には有名短編があるようだけれど、
2巻には謎解きミステリとしては2流だが、
怪奇冒険小説・伝奇ロマンとして読むとすばらしい作品が~云々。
無理にポオをなぞったような作品より、
瀬戸川さんは一般に無視されているような作品を愛し、
解説してくれたのであった。
ホームズものは初めてだったけど、
読み始めると、サクサクと止まらない。
ミステリとしてどうか?など関係なく、
読み物として純粋に面白いではないか!
途中から、光文社版の「回想」を買ってしまったので、
こっちはお風呂場に持ち込んで平行して読むことになった。
光文社の新訳の方は、分かりやすいし、
読みやすいし、挿絵もあって入りやすい。
新潮の方は、「グロリア・スコット号」とかの
手紙文の口調とか、古すぎてつらいところや、
暗号の表現も古くて、劣るかなぁと思うところもあったのだが、
なんというか、格調というか、
おもむきのある感じが、逆にこの原文自体の雰囲気を
かもしだしてる気もして、いやはや甲乙つけがたし。
(ごめんなさい。こんなこと言ってますが、このあと僕はどんどん新潮の延原訳版こそ本物のホームズである、としか思えなくなていきますw)
ホームズは色々出てるみたいだから
比較してみるのも面白いかもしれない。
次は、「四つの署名」の予定、
それから「冒険」にいこうかな。
なお、ホームズを読むにあたって、ってわけでもないけど、
ポオ全集の「モルグ街」と「マリー・ロジェ」「盗まれた手紙」を
書棚から出して参考がてら読んでみた。
「モルグ街の殺人」は、なるほど事件自体も面白いし、
デュパンのキャラも悪くないと思った。
この人がいろんな原点になってるのか。
「マリー・ロジェ」は、実際にあった事件とからめてあるせいか、
理屈が過ぎて、長いだけでつまらない。
「盗まれた手紙」は今よむと
「なんだ~」って感じかもしれないけれど、
引き込んでくれるものはあるし、
G**警視総監?がアホでいい。
いろんなものの原点がここにあるのかなぁと、
ほほえましい気持ちもわいてきた。
どの編か忘れたけど、ありきたりの事件の方が実は難しく、
異常と思われる事件の方が、実は解きやすい、
というような説があって、それには「なるほど正しいかも」と思わされた。
異常と思われる箇所は、すべて、
犯人を示す重要なヒントになるのに対し、
誰もがやりそうな事件というのは、
誰もがやりそうなのだから、あてどころもつかもどころもなく、
逆に難しいのだ、と。
ひょんなところで、目から鱗体験できてしまっただよ。
---
追記:
ホームズものは足湯小説だなんて
ほざいたこともあったけど、ごめんなさい!
「思い出」の『最後の事件』のラスト、
ホームズのワトスンへの書き付け部分をお風呂で
じっくり再読していたら嗚咽がもれそうになった。
行間から烈々と、そしてまたしみじみと
ホームズの覚悟が伝わってきて
痛烈に悲しくなってしまったのだ!
おそるべし延原訳のすごみ!
ホームズ、バンザイ!