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『煤けた都市のメリーゴーランド』

その煤けた炭鉱都市に辿り着いた時、
真っ先に目に飛び込んできたのは、
色とりどりの装飾が施された
ハイカラな路面電車だった。

まるで遊園地の回転木馬のような趣で、
それは薄墨色にくぐもったモノクロの街中(まちなか)を
ゴトゴトと賑やかな音を立て
目抜き通りを突っ切っていった。

街が死んだように静まりかえった。

水もしたたる真っ白い豆腐がひどく焦った様子で煙草屋の角を曲がっていくのが見えた。醤油か猫にでも追いかけられているのだろう。今日はいい日になりそうだ。 ありがとうございます。貴方のサポートでなけなしの脳が新たな世界を紡いでくれることでしょう。恩に着ます。より刺激的な日々を貴方に。