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水戸藩の悲劇的な歴史とイデオロギー

水戸藩と言うと、水戸黄門とか、幕末の桜田門外の変に登場するくらいのことは知ってたけど、詳しいことはよく知らなかったんだよね

それでネットで少し調べたら、とても興味深い藩というのが見えてきた

この「少し調べる」、そして調べたいテーマに大まかな当たりを付けたいとき、いきなり書籍や文献というのは少し大げさで内容も細かすぎるので、ネットというのは実に丁度いい情報源だと思います

ただ、ネットには大量の情報があって玉石混淆なので、選ぶ目(リテラシー)が重要になる

桜田門外の変もそうなんだけど、とにかく水戸藩の歴史は血塗られている

特に幕末のころには天狗党など、目を覆うような残酷な事件が次から次へと起きている

そしてその背後に独特のイデオロギー(宗教)がある

それが「大日本史」に代表される水戸学なんだ

今でもガザ戦争とかそうだけど、大量虐殺とか凄惨な事件の背後には、たいてい共産主義(共産教)とかナチズム(これも間違いなく宗教だ)とか、ユダヤ教・キリスト教・イスラム教とかの一神教的イデオロギーがある

デカルト

デカルトが示したように、客観的事実と合理的推論だけを理性的に活用すれば、サイエンス(自然科学)が成し遂げたような偉大な成果を手にすることが出来る

逆にイデオロギーにハマリ込むと、狂気に走って泥沼のような悲惨な状況を招き易い

ただ、イデオロギーには人間に信じられないような活力をもたらす作用があり、イデオロギーで一致団結した集団は無類の強さを発揮するというのも否定しがたい歴史的事実だ

この辺、人間という生き物が不可避的に背負った宿命なのかなぁと思ったりもする

水戸藩とか会津藩のような幕末の悲劇的な藩を見て思うのは、視野の狭さということ

明治維新を推進した薩摩藩とか長州藩には、「運良く」イギリスやフランスと実際に戦火を交える機会があったので

  「今の状態で攘夷(じょうい、外敵を撃ち払うこと)
   なんて、絶対に無理だわ!」

  「本気で攘夷をするなら、まず開国して
   先進国に学び、国力を付けることだ!」

と悟ることが出来た

水戸藩とか会津藩には、地理的な宿命でそのような機会が無く、最後まで

  「精神力さえあれば、夷狄(いてき、外国人)に撃ち勝てる!」

などと信じて突き進んでしまった(これが視野の狭さだ!)

同じような精神状態になったのが、昭和の最初の20年間

真珠湾攻撃を決定した当時の日本政府首脳には、東条英機をはじめ、米国を自分の目でしっかり見たことのない連中が多かった

ハーバード大学に留学し、米国の怖さを熟知している山本五十六は、その重大な決定から外され、真珠湾攻撃の作戦立案だけを任された

人間は自分の目で見たことのないものには具体的なイメージを脳内に描くことが出来ず、自己中心的で現実離れした判断を下しがちになる(だから現場へ行って、自分の目で現実を見ることが重要なんだ)

岩倉使節団

明治の初め、まだ明治新政府の基盤が固まっていない不安定な時期に、日本政府首脳がそろって欧米を2年間も見て回った(岩倉使節団)のは、本当に心底スゴいことだと感心する

大久保利通をはじめ、このときの日本政府首脳の強烈なリアリズム(現実主義)には頭が下がる

プライドも理想主義もとりあえず横に置いて、とにかく自分の目で現実(現場)を見て、現実に立脚してものを考え、その上で強い国を建設しようとしてギリギリの覚悟をしている

まさに日本という国が消えて無くなるかもしれないという強烈な危機意識の中で、必死に西欧文明を学び取ろうとした旅だった

昨今の国会議員が税金で楽しんでいる物見遊山の海外視察(という名のお遊び旅行)とは、まるで次元が違う

そうやって当時の日本政府首脳が、

  西欧文明とか産業革命、市民社会、国民国家、近代戦争

の具体的なイメージを脳内に焼き付けた結果、明治維新のあとの文明開化は、世界が驚くほどの成功を収めることが出来た

その危機意識が薄れて、政府首脳の最大の関心事が「仲間内の人間関係」になったとき、真珠湾攻撃という人類史にも残る愚かな決断が下された

国家でも企業でも、首脳陣の関心事が外界(国家なら諸外国の動向、企業なら顧客や競合企業)ではなく、「仲間内の人間関係」になったときに、本当の恐ろしい危機が訪れる

第二次大戦後半、最前線では武器も食糧も尽き、餓死寸前で戦っていた

そのとき東京の大本営幹部は、毎晩のように赤坂や新橋などの料亭で芸者をあげて宴会を開いていた

宴会が好きとか嫌いではなく、宴会に参加しないと「仲間」から外されてしまう恐れがあった

  「付き合いの悪い奴」と見られたら、もうオシマイなのだ

当時の大本営幹部にとって、最前線での勝敗よりも、今晩の宴会に誰が参加するかの方が重大関心事だった

競争のユルい業界や企業には、「5時から課長」とか「宴会部長」みたいな人がいて、仕事はテキトーに片付けて、仲間内の情報交換や上司へのゴマスリに専念している人がいる

そんな人が出世して、本当に外を向いて仕事をしている人が不遇になると、いずれ本当の恐ろしい危機が訪れる

居心地が良くて人間を堕落させるものは色々あるが、「仲良しグループ」もその一つだ

国家や企業の首脳に限らず、もしあなたが何かの重要な判断をしようとしているとき、あなたの頭に浮かんでいるのが仲間の誰かの顔だったら、あなたは間違った判断を下そうとしているのかもしれない

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