東京路地紀行 66 足立区千住
大人ひとりがやっと通れるかという幅の路地が目の前にあった。行くべきか躊躇っていると、私の足元をすり抜けるように一匹の猫が路地へと入っていった。それを見た私の心はきまり、後を追うようについていく。
路地を抜けるとその先もまた路地。
こちらは広い。道端で猫は身体を捻ってこちらを振り返っている。
その姿はここまで道先案内してやったんだからご褒美くれよ、と言わんばかり。残念ながら私にはそういう持ち合わせはなかった。
ありがとう。
心の中で猫にお礼をつぶやき、私は次の路地へと向かった。