東京路地紀行 64 大田区猟師町
現住所では大田区羽田。かつては猟師町とよばれていた。
「猟師」といっても鉄砲撃ちではなく、海のリョウシ、つまり漁師。
ほかの場所でも聞いたことがあるが、漁業関係者の町は漁師ではなく、猟師と書かれるようだ。
そんな猟師町の名を堂々と使ったマンション。
猟師そのものズバリ!いさぎよい!!
最初に書いた通り、いまの住所は大田区羽田。
この辺りは下町の匂いたっぷりの住宅地、そしてそこここに路地も残っている。
行き止まりの路地、通り抜けられる路地。雨上がりの路地。一つ一つ、奥を覗いてみる。
奥は未舗装。歩くとジャリジャリと小石を踏みしめる心地よい音がしそう。
海が近いからかトタンがいいサビを出していた。サビの長さは木の年輪みたいなもの、長いほど風雨にさらされた年月も長いのかもしれない。
これは路地ではないが、かつて多摩川との境を表していた煉瓦塀の堤。今も残されており、この堤から多摩川寄りは土地が低くなっていて水辺が近いことを感じさせてくれた。
そしてこの民家。かつては空港へ向けて見えるように大きな広告看板が取り付けられていて、それだけで1年間は何もせずに生活できる収入があったとか。今は昔のよき時代の話。