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横浜風景歩記録 2 根岸の長い階段

根岸駅は港湾施設沿いの低地に沿っている。駅を降りると目の前に左右に広がる巨大な障壁が現れる。山手根岸の台地だ。最大で標高50メートルくらい。根岸駅は標高数メートルなので、40メートル強の段差の崖が広がっているわけだ。

駅から歩くこと15分くらいか。子供たちが遊んでいる公園を横目に崖下へと歩を進めると、目の前にまっすぐな階段が出現する。見上げるほどの長さ、この上には何があるのか、どのような光景が広がるのかという好奇心とこの長さを上れるのかという不安とが混ざり合ってしばし眺める。そして決心する。さあ上ろう。そのために来たのだし。

上っていく。見た目以上に傾斜がある。石段も年数を経て足元にも不安感がある。焦らず、振り返らず、ゆっくりと上る。

上った先に何があるのか。
階段を上りきったところには黄色いタンポポの花と防衛省の文字が刻まれた境界杭。境界杭の頭の黄色いペンキがタンポポの花となんとなく似合って見える。

そう、この先は在日米軍の根岸住宅地が広がるエリア。日本人は立ち入れない。しかし鉄条網のフェンスに挟まれた細道が地元民用の通路として確保されている。地元民はここを通って、根岸森林公園に遊びに行く。この時も数組の家族連れがこの隘路を通っていた。

鉄条網がものものしい。ここは横浜なのか
フェンスの向こうに現代の横浜の繁栄が見える

先へ進むと鉄条網の向こうにある幹から枝を伸ばしている桜の樹から花びらがハラハラと散っていた。アメリカで花開いた桜が日本に散り落ちているというところか。

フェンスから大きく枝を伸ばした桜。枝を電線に絡めながら花を咲かせ、散らせていた

さて戻る。鉄条網のフェンスのあいだを抜けて再び階段の上に。
最後は階段上からの眺め。

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