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東京探索記 23 馬込の坂

再び馬込です。
馬込の名の由来は馬がこめられている場所とも。谷地に馬を放牧している場所。谷の出入り口に柵を設ければ、両側の崖が壁となって馬は逃げ出すことができない。だから馬が込められている場所、馬込。

中馬込あたりの風景

そのような名前通りの地形をしている馬込。
丘へ上るとその先は谷、坂道を下って谷へ着くと目の前に見えるのが丘への坂道。坂道を上って丘の頂上へ着くとその先に見えてくるのはまた谷。谷からのびる坂を・・・
という感じで丘と谷が坂道でつながっています。

北馬込から見える中馬込の坂

そしてそのような地形の場所では、丘と丘が向き合い、その間を谷がつなぐV字型の谷、通称V字谷が多くみられます。

中馬込にある12%の坂。
12%と言われてもピンときませんが、坂の上に立つとかなりの急坂です。長い坂を下った先の谷底は内川の流れ跡。昔この谷底を川が流れていました。

中馬込

その12%ですが、東京探索記21で紹介した近所の大田区中央の佐伯山の坂が22%だったのでこちらはその半分の傾斜ということなのですが…

車が坂を下りていくところはこんな感じです。

続いてはV字谷ではありませんが、蛇坂というカーブしている坂道。ここも急傾斜なので、カーブさせることで上り下りする人の負担を少しでも軽くしようとしたのでしょう。その姿が蛇行する蛇のようだから「蛇」坂となった、のかはわかりませんが。

隣には真っ直ぐな階段がありますが、見ていると地元の方は階段は使わず坂道のほうを利用されているようです。

こちらは西馬込からの風景。
民家の屋根や低層マンションの並びの向こうに見えるのは武蔵小杉のタワーマンション群。
こうしてみると蜃気楼のようです。

坂の街でも庶民の足に自転車が重要なアイテムです。
とはいえ、普通の自転車では漕ぐのは厳しい。
というわけで活躍しているのは電動アシストタイプ。
こちらの奥様もマンションから颯爽と飛び出してきていますね。

ここもV字谷。何かを積んだトラックが坂道を上ってきます。この谷も内川がつくった谷です。その内川は今はこの谷底のさらに下を暗渠となって流れています。

そして東馬込へ。
「車両 行き止まり」の標識の向こうは階段、そして広い谷。谷の向こうに緑生い茂る台地が見えます。視界が一気にひらけて気持ちがいい場所です。
緑生い茂る台地には如来寺という寺院とその墓地が広がっています。谷にはかつて画面の左から右に向かって川が流れていました。その川の周りには水田が広がっていました。いまは水田はなくなり、住宅と町工場になっています。そのような歴史を経て、低地は低地のまま、高台は高台のまま残り、このような地形が残されています。

訪問したのは5月初めのゴールデンウィーク。
民家の軒先のバラは満開に近い咲きっぷりでした。

さて、最後にもう一度、V字谷を。

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